年頭所感

学長 新年あけましておめでとうございます。

皆様には年末年始をご家族やご友人等と共に和やかに、また楽しくお過ごしいただけたでしょうか。

今年は午年です。天翔る天馬のように全力で疾走し、躍進する年になるようにと思っています。年頭に当たり、本学の昨年の取り組みを振り返って概観するとともに、さらなる躍進に向けて新年の所感を述べます。

はじめに
昨年は、社会的には夏の参議院選挙での与党の大勝で安定した政権ができました。一方で、国際情勢が緊張感を増す中で、社会は大きく動いています。6年ぶりの株価16,000円超とか41年ぶりの株価上昇率などに代表される様に、経済的な取り組みが功を奏して社会には明るい兆しも見えています。また、2020年の東京でのオリンピック開催や富士山の世界文化遺産登録の決定など、嬉しいニュースも数多くありました。熊本でも、水の都としての熊本市がアジアではじめてユネスコから「命の水」最優秀表彰を受け、また、阿蘇が世界農業遺産に登録されるなどの知らせもありました。10月には熊本での「全国豊かな海づくり大会」に天皇皇后両陛下がご臨席いただきました。くまモンの大ブレークで熊本の名前が全国的にも知れわたることにもなりました。

我が国の高等教育を取り巻く状況
さて、大学のことに立ち返ってみますと、引き続いて国立大学の在り方が問われた年でもありました。一方で、社会の期待に応えるために、国立大学協会も「「国立大学改革」の基本的考え方について−国立大学の自主的・自律的な機能強化を目指して−」と題した大学の自主的な機能強化への考え方や取り組みを発表する等、国立大学の機能強化の在り方についても様々な議論が展開されています。この根底には、政府の「教育再生実行会議」等からの様々な提言があります。一昨年から始まった国立大学の存在意義を明らかにする「ミッション再定義」と呼ばれる文部科学省と大学との対話をはじめ、「教育再生実行会議」から出された「これからの大学教育等の在り方」(第三次提言:5月末)や「高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜の在り方について」(第四次提言:10月末)等の提言に基づいて、政府から、6月には「今後の国立大学の機能強化に向けての考え方」が、また、11月には「国立大学改革プラン」が発表されるなど、いわゆる「大学改革」が社会的な課題として取り上げられ、大きく動き出しています。その中で、教育の国際化、イノベーションを支える大学、さらには、ガバナンス改革や年俸制を含めた給与人事制度の改革等、多くの課題が提示されています。平成26年度の文部科学省関連の予算にもこれらの点が組み込まれています。特に、昨年、今年、来年の3カ年は「大学改革の改革加速期間」と設定されています。今年は、その真ん中の年にあたりますので、引き続き「大学改革」の年として国立大学が社会から大きな期待と関心を持って注目される年になります。今後、大学間競争も益々激しくなります。一方で、大学間連携も重要になると考えられます。
大学改革や教育改革が叫ばれる社会的な背景としては、社会がグローバル化しアジアの新興国が急速に発展していく中で、我が国は、歴史的にも大きな曲がり角にあるということに起因します。この150年の中で、明治維新、第二次世界大戦に続いて、今新しい時代の変わり目が進行しています。その中で、国立大学は社会の将来を担い、そのためのエンジンとして機能することが求められています。拡大するグローバル化社会の中での人材育成が重要な課題として取り上げられ、そのための入試の在り方や教育内容の国際的な互換性、教員の人事制度の在り方、大学のガバナンスなどの重要性が指摘、提言されています。
本学は、「ミッション再定義」の議論の中で明らかにしてきたその強みと特徴を生かしながら、また、一方では大学としての多様性を確保しつつ、進化しながら成長しなければなりません。本学の輝く将来に向けて、皆様と議論を積み重ねながらも、将来に向けて大きく飛躍することが必要です。100年後にも輝く大学として、また、社会の財産としての人「財」の育成と輝く将来に向けた社会改革の推進役としての役割を果たすための機能強化を進め、大きく前に進んでいかなければなりません。

これまでの取り組み
さて、昨年の本学の出来事について、主だった事項を中心に拾い上げてみます。
教育面 では、8月には、沿岸域環境科学教育研究センター・合津マリンステーションが文部科学省の「教育関係共同利用拠点」に認定されました。10月には、図書館本館のリニューアルオープンで、図書館に能動的な学修を支援するための「動」の空間が整備されました。このすばらしい教育環境の活用が期待されます。また、日本化学会発刊の「化学と教育」誌の第61巻で、昨年1年間、本学の旧第五高等学校の化学実験場が表紙を飾りました。この建物の階段教室を使って、本学の学生としてのアイデンティティーや誇りを醸成することを目指した新入生全員に対する学長特別講義も例年通り実施いたしました。
研究面 については、特記すべきことがありました。皆様のこれまでの研究に対する努力が実って、9月に、本学も文部科学省の「研究大学強化促進事業」の支援対象機関(いわゆる研究大学)として、我が国の22大学の一つとして指定を受けました。この指定は本学の国際的な活動においても活用させていただいています。昨年だけを取り上げても本学の世界的な成果が数多く報告されています。 KUMADAI マグネシウム合金が米連邦航空局(FAA)での燃焼試験に合格して、世界初の不燃マグネシウム合金として認定されています。この開発の成果は東京・虎ノ門の文部科学省の記者クラブでも発表いたしました。直径8kmにおよぶ巨大な隕石が落下した証拠が我が国でも見つかった話もありました。また、8月から11月まで、文部科学省の「情報ひろば」において本学の薬学部の活動を紹介するイベントも開催させていただきました。10月には、光合成反応中心のX線結晶構造解析の業績で1988年のノーベル化学賞を受賞されたヨハン・ダイゼンホーファー(J.Deisenhofer)博士夫妻が来学され、私と分野が少し重複しているところもあったことから、光合成関連タンパク質の酸化還元電位に関する研究をしていたことや第五高等学校出身の寺田寅彦先生が結晶学の創成期にX線と結晶の研究を日本で行いNature誌に発表していたことなど、話が弾みました。11月には、画像診断の精度を飛躍的に向上させる応用範囲の広い新しいMRI画像化技術の開発の報告もありました。さらに、12月には、ヒトiPS細胞から3次元の腎臓組織の作製に成功するという画期的な研究成果をはじめ、ES細胞から膵臓組織の作製やエイズ治療に繋がる研究成果など、生命科学系の世界的な研究成果が立て続けに発表されたことは記憶に新しいところです。また、昨年発足したパルスパワー科学研究所も本格的に活動をはじめています。これらの活動や成果は「ミッション再定義」においても、本学の強み・特色として記述いただいています。これからも研究大学の指定に恥じないように、しっかりと責任を果たすための取り組みが求められます。
もとより、全ての教員がすばらしい研究成果を基盤にして、高度な教育を実施することが国立大学の所以であることは今更言うまでもありません。我が国の発展の基盤を担っている教員の皆様には改めて独自の特徴ある研究の推進に一層の努力を期待したいと思います。
次に 国際活動 に目を向けてみます。昨年は10月に熊本で「水銀条約に関する国際会議」もあり、熊本が世界的に注目されたことは、ご承知の通りです。本学の国際交流活動も活発に行われています。 本学の国際化 に向けては、3月に締結された国立六大学連携活動の一環として、国立六大学連携(SUN)とASEAN University Network(AUN)との間のライフサイエンス分野における交流活動として、8月にタイのマヒドン大学(Mahidol University)で医学系の共同サマーセミナーが開催されています。10月には、ミャンマー国の科学技術大臣等の出席のもと、国際協力機構(JICA)が同国の工科系トップ大学であるヤンゴン工科大学とマンダレー工科大学を対象とした技術協力プロジェクトを開始しました。11月には、第10回本熊本大学フォーラムを5年ぶりにインドネシア・スラバヤの地で開催させていただきました。その中でアイルランガ大学およびインドネシアの東部の大学群との連携協定の締結等も行いました。
皆様の努力の成果として、今日では、本学の海外協定大学は150校を超え、また、留学生も常時450名を超えるに至っています。学生交流も活発で、7月から8月にかけて、中国、台湾、韓国等から30人を超える学生が参加してサマープログラムが、12月には、インドネシア等から約60人の学生が出席して学生国際会議(ICAST)等が開催されています。我が国の昨今の政府の方針を追い風に、留学生数の増加とともに、将来に向けて、本学の学生の海外派遣者数を倍増していければと思っています。存在感のある熊本、熊本大学として、これからも国際活動を強化したいと思います。
一方、 地域連携 に関しては、本学は、引き続いて、県下14の高等教育機関の連携体である「一般法人:大学コンソーシアム熊本」の会長校としての役割も果たしています。地域の発展に向けての県や市および経済界と連携した「くまもと都市戦略会議」や大学コンソーシアム熊本主催の「熊本版ダボス会議」と称する円卓会議も定期的に開催させていただき、12月には、留学生とともに熊本と世界を繋ぐための知恵についての議論をいたしました。また、本学の医学部附属病院の高度な地域連携医療の推進はじめ、日常的な産官学連携事業の推進、自然科学研究科の地域の防災・減災関連の活動、地域の特徴でもある地下水に関連した教育研究活動、有明海関連の活動、熊本のそして我が国の資産である「永青文庫」の研究による貢献等々、数多くの活動があります。
地域に存在する大学は、地域の活性化やその将来を担う存在としての役割を果たしています。地域医療や地域産業、地域社会の機能強化への貢献はもとより、地域の発展に対して、シンクタンク機能、オピニオンリーダーとしての機能、各界を取りまとめるコーディネイト機能、さらに、地域社会を世界に繋く役割を果たしています。これらの機能は、今後益々重要になると考えられます。
運営面 では、昨年4月からは、新執行部体制をとらせていただき、はじめて女性の副学長誕生しました。9月には「女性研究者研究活動支援事業(拠点型)」に採択され、2月に得た「くるみんマーク」認定等とともに本学の男女共同参画への取り組みが社会でも高く評価されています。また、5月には、五高記念館の来場者数が10万人を超えたとの報告もありました。大学間の連携では、3月に旧六大学(千葉、新潟、金沢、岡山、長崎、熊本の各大学)と呼ばれる国立6大学の包括連携調印式を行い、国際活動を中心に六大学の連携を強化することを宣言いたしました。
また、昨年もホームカミングデーの機会に新規に4名の名誉フェローを授与させていただき、28名の卒業生に対してそれぞれの社会的な活動・同窓会活動等による母校支援を顕彰して表彰をさせていただきました。本学の東京オフィスや関西オフィスの存在によって、シンポジウムの開催はもとより多面的に関東・関西地域の同窓会の皆様との強い連携が進められていることはご承知の通りです。この4月には、九州地域の連合同窓会組織も立ち上がる予定です。
他にも、6月の国立大学協会の総会で、本学が同協会の副会長を務めることになり、さらに、この9月から六大学連携体の幹事当番校も務めています。

新年度(平成26年度)に向けて
次に、新年度に向けての取り組みについて述べます。
文部科学省の来年度予算は、研究プロジェクト経費を中心に極めて厳しい状況にありますが、昨年末に閣議決定された政府原案では、財政事情が極めて厳しい中でも文部科学省全体の予算は大学改革に向けての社会の期待の大きさを示した予算になっています。本学に対する概算要求事項の採択に関する内示については後日説明しますが、来年度も運営費交付金について、マイナス1.3%の大学改革促進係数による減額も行われます。一方で、各プロジェクト予算や研究設備費についても、極めて厳しい査定になっています。その中で新規に採択されたものを列挙しますと、1)卓越した研究拠点事業として、「エイズ先端国際共同研究プロジェクト」(エイズ学研究センター)が、2)大学の特性を生かした多様な学術研究機能の充実事業関係では、「教授システム学の研究普及拠点の形成」(社会文化科学研究科)が採択されています。また、3)教育関係共同実施関係では沿岸域環境科学教育研究センターの事業が採択されています。
施設面では、平成26年度の新規事業として、病院管理棟の耐震改修事業が採択されています。加えて、平成25年度の補正予算で、教育学部の総合研究棟の改修、附属小学校の校舎改修、本部管理棟の耐震改修が既に採択されたところです。

本学の輝く未来に向かって
もとより、大学は、自らの将来像を描きながら、責任を持ってその機能・役割を主体的に果たすべき存在です。社会からの信頼を基盤として、自らを律し、その使命を果たすことが求められます。新しい時代の創造や改革の担い手として、社会の発展のために、われわれ高等教育機関は最大限の努力をする責任を負っています。
ここ数年かかって進めて参りました60周年記念誌編纂事業は、平成25年度中には、60周年記念事業の最後を飾る60年史(通史)が完成いたします。関係者のご努力に感謝申し上げるとともに、本学の新制大学としての60年を振り返る大切な資料になります。また、その前の100年をも振り返りながら、次の100年に向けて新たな出発に向けて心を新たに、将来を設計したいと思います。
折しも、広報活動と関連して、本学の強みや特色を表現した「熊大カルタの読み札」の募集を行い、既に最優秀賞(漱石も八雲も君も誇りなり)など一部が選定されました。未だカルタとしての全ての文字が揃っていない状態ですので、引き続いてこの事業は継続しています。
特記すべきこととして、昨年11月には、本学にゆかりの井上雄彦(たけひこ)氏の揮毫を得て、「創造する森 挑戦する炎」のコミュニケーションワードを学内外に向けて発表いたしました。本学の特徴を表すコンパクトな言葉として選定されました。このコミュニケーションワードは、我々のこれまでの努力とその上に立って行く末を示す言葉、我々の輝く将来への思いと軌を一にする言葉になっていると思います。新しい社会を創りだしていく実行力やチャレンジ精神、責任感等、本学の特徴を力強く表現したすばらしい言葉と思っています。輝く未来のために新しい創造的な「知」がどんどん生まれ育ち、また、いかなる困難の中でも、怯むこと無く、具体的に課題を解決していく姿勢を表現しています。熱い思いでチャレンジする高い志に満ちあふれた学生諸君や教職員の集団が本学の真骨頂であることを示しています。井上雄彦氏の力強い思いのこもった書に負けない力強さで、本学の未来を皆さんと一緒になって創りだしていきたいと思っています。本学の「創造する森 挑戦する炎」に込めた未来への志については、JR熊本駅のみならず東京駅の八重洲コンコースにも広報させていただいています。

新年度への取り組み課題について
新しい年に向けた取り組むべき当面の課題も数多くあります。主要な課題について言及しておきます。
教育面においては 、特に、グローバル社会で活躍できる学生の育成のために、学部学生の共通教養教育部分の強化、いわゆるリベラルアーツ教育の強化が必要です。関連して、入試の在り方や高大連携の在り方についても充分に検討して準備しておくことが必要です。勿論、専門教育内容については、引き続いて各部局でカリキュラムと教育内容を不断に検討する必要があります。
一方で、本学の学生諸君が輝くための支援活動、特に部活動の活性化を重要な課題としています。この数年、部活動の活性化に力を注いで参りました。昨年は、学生諸君の頑張りで、ボート部の国体優勝はじめ多くのすばらしい成績もあげてくれました。体育会や文化部の活動など学生諸君の活動支援にも引き続き力を入れたいと思っています。
研究面においては 、世界の第一線で戦える研究拠点大学として、研究力を強化するために、生命科学系および自然科学系の二つの国際研究拠点(国際先端医学研究拠点;国際革新技術研究拠点)を中心に先導的で機動的な研究を進める体制を強化します。また、人文社会系の研究の集積や拠点化も進めて参ります。関連して、大学の将来に大きな影響を及ぼす、いわゆるCOC(Center of Community)事業等にも挑戦いたします。
将来に向けて、地域の特色を生かした研究(例えば、水に関する研究)や社会の要請の強い研究(例えば、エネルギーに関する研究)などについては、今後とも積極的に組織編成を含めて取り組みたいと思います。また、人文社会科学系は、地域に関連した古文書等の研究では優れた成果を上げています。五高関連の研究等も地域に根ざした研究として進める必要があると思っています。例えば、2016年は、漱石来熊120年に因んだイベントの準備も関係者によって進められています。本学もその一端を担いたいと思います。一方、様々な歴史的な資料が散逸しないように、60年史の編纂が完成するのを期して、関連資料の保存場所の確保も進めています。今後、資料内容の調査のための仕組みや組織も必要になります。これらの中から本学独自の、また、地域特有の様々な研究を生み出していくことも必要です。
大学の国際化は 、急速に進展するグローバル化社会の中で世界を舞台に活躍できる人材の育成を使命とする本学が避けて通ることができない重要な課題です。国際化は、我が国の文化や考え方を理解し、その良さを認識し発信できる人材を育成することでもあります。国際社会の縮図としてのキャンパスや学生諸君が機会ある毎に、背景となる文化や価値観の異なる人々とも対等に議論ができる人材として育つための環境が必要です。そのためにも大学教育のグローバル展開力の強化事業(例えばスーパーグローバル大学事業)の獲得は不可欠です。
将来的には、本学の国際的な存在感を高めるために、留学生を学部・大学院あわせて全学生の10%を目指したいと思います。同時に、日本人の留学経験者も少なくとも全学生の5%を目指したいと思います。すなわち、現在500人程の留学生を1000人に倍増し、一方、世界に送り出す日本人学生数を短期派遣を含めて現在の年間130人程から、まず250人に、さらに、将来500人にする目標を掲げたいと思います。本学は、今後も社会にリーダーを輩出し、100年後も輝き続ける存在でなければなりません。少なくとも第三期の中期目標計画期間中に本学の学生の海外への派遣の数を現在の倍増を達成するような目標も必要です。そのためにも、本学は世界に通用する教育をする場でなければなりません。
組織体制については 、変化する時代に充分に対応できるように従来の部局等の組織も柔軟性を持った体制が必要です。これまでの議論の積み重ねを基礎として、教育の高度化に向けて教育プログラムと教員組織を分離するなど、早期に研究部型の組織へと移行したいと考えています。12月に公表された医学系、工学系、教員養成系の「ミッション再定義」結果に基づき、また、残りの学部等の結果等をも踏まえて、新しい組織の在り方についても対応が必要です。このことによって、本学が目指してきた、生命科学系、自然科学系、人文社会科学系の三つの柱の構築を効果的に行えると考えています。また、ミッション再定義で約束し、社会に公表された事項を踏まえて、引き続いて必要な組織の再編も必要になります。本学の発展的な将来を考える時、少子化が進み、また、教育の質の保障を求められることに鑑みて、本学の規模と存在感の維持発展に向けた新しい組織の創成も視野に入れる必要があります。さらに第四の柱としての大学院先導機構は、新しい学術の芽を育て、それを担う人「財」を育てる役割を果たすための機能強化が求められます。今日の大学改革の追い風を十二分に活用しながら、知恵を出して進めたいと思います。
その他の運営上の課題として、年俸制の在り方を含めて新しい人事制度の構築が必要です。また、今後も男女共同参画事業の推進や障害をお持ちの方々が存分に活躍できる体制・環境の整備等についても十分な検討が必要になります。
加えて、今年も厳しいエネルギー事情、電力事情が想定されます。電力料金の大幅値上げや4月からの消費税の改定での支出増が見込まれます。この影響を少しでも緩和するためにも、現在実施している全ての事業所でのエネルギー消費量の削減に対応する整備や節電や省エネルギーへの取り組み、さらには、一層の諸経費の節約などについても引き続いて皆様のご協力をお願いする次第です。

結びに:社会の皆様の「憧れの熊本大学」へ
熊本大学は、学問の場で切磋琢磨しながら、世に多くの人材を輩出してきました。人材育成は、いつの時代においても国や社会の根幹であり、本学は社会のリーダーとなる人「財」を社会に輩出していく必要があります。本学は、総力を結集して、社会の皆様の「憧れの熊本大学」の実現に向けて、社会の期待に応えていかなければなりません。豊かな自然環境と歴史・文化に育まれた熊本が、学生諸君を中心とする若者が生き生きと活躍する学園都市(アジアの代表的な学都)として、また、高度な医療体制に支えられた安全安心な都市として、かつ知的な研究開発型の知識基盤社会の中核的な都市として益々発展し、我が国を代表する国際都市として大きく飛躍するために、大学の貢献が求められています。本学が地域のリーダーとして、また、国際的にも存在感のある大学として今後も大きく発展していくために、全ての構成員が、これまで培ってきた様々な叡智を結集させ、多くの課題を乗り越えて教育、研究、診療、社会貢献等,それぞれの分野で一層のご尽力を重ねてお願いいたします。
結びに、新しい年が皆様にとって、すばらしい年でありますよう、皆様の御健康と御活躍を祈念いたしまして、年頭の挨拶といたします。

平成26年1月6日
熊本大学長 谷口 功

お問い合わせ
経営企画本部 秘書室
096-342-3206