平成24年度熊本大学卒業・修了式 式辞

学長 本日、ここに、ご来賓各位のご臨席を賜り、理事・副学長・部局長と共に平成24年度の卒業式・修了式を挙行できますことは大きな喜びでございます。ご卒業・修了の皆様、卒業、修了、誠におめでとうございます。

本日の式典にあたり、卒業生・修了生の皆様には今日の日を迎えられましたことに対して心よりお祝い申し上げますとともに、皆様自身の今日までの研鑽に深く敬意を表します。
また、留学生の皆様方には、母国の期待を担い留学を立派に終えられました。母国を離れての勉学には幾多の困難があったものと推察いたします。留学生の皆様には、おめでとう、Congratulation, と申し上げます。本学で学ばれたことを充分に活用され、これからも皆様の母国と我が国の架け橋となって益々ご活躍いただくことをお願いいたします。

もとより、諸君の今日がありますのは、ご家族の皆様や友人の協力と励まし、教職員や諸先輩の温かな指導・助言、などの支援があったからに他なりません。本日、皆様が手にされた学位記には、お世話になった方々の様々な思いが詰まっています。本日の卒業・修了の喜びを、是非、ご支援いただいた皆樣方と分かち合っていただきたいと思います。
この場をお借りして、本学を代表いたしまして、卒業生、修了生を深い愛情によって支えてくださったご家族をはじめ、ご指導ご助言をいただいた教職員、諸先輩、友人の皆様、さらには日常生活を支えていただいた地域の皆様はじめ関係各位に対し、衷心より深く感謝申し上げます。

価値の大転換の時代
さて、今日、国際社会は日々大きく変動しています。我が国は、引き続いて大震災からの復興という課題に取り組まなければなりません。その中では新しい価値観が求められています。この新しい時代の大きなうねりの中で、我が国はこれからも真のリーダーとして国際社会を担い、その将来を指し示すことが求められている時でもあります。
ここで、我が国のこの150年を振り返ってみますと、我々は今、3度目の大きな歴史の変換点にいると言えます。約150年前には明治維新がありました。我が国の近代化の始まりで、当時のヨーロッパの進んだ文明を巧みに吸収して急速に近代化を果たすことに成功しました。本学の前身の第五高等学校の学生たちは、「秋はふみ 吾に天下の 志」と漱石が詠ったように、学問や友との議論に熱中し、また国の将来を担おうとする心意気に燃えていました。その中で、多くのリーダーが育ち、我が国は急速に世界の先進列強と肩を並べるに至りました。第二の変換点として、その後70余年を経て、第二次世界大戦で再び大きな試練と社会の在り方に対する考え方や価値の大転換を経験しました。しかし、戦後のゼロからの出発の中で、特にアメリカをモデルとした新しい自由と平等を学び、教育の均等化を成し遂げ、大量の質の高い均質な人材を育成することによって、欧米の進んだ科学技術を取り入れ発展させることに成功して、「世界の奇跡(Miracle Japan)、あるいは、Japan as number one」と世界の人々を驚かせるまでに豊かな社会を創って蘇りました。そして、今日、我が国は、この150年の中での3度目の大きな転換期の真っただ中にあります。

世界と繋がる
今日の社会は一層グローバル化が進展して、何事も世界的な視点で考えなければならなくなっています。アジアやアフリカ諸国の発展も目覚ましいものがあります。情報通信技術の発展で情報は瞬時に世界を駆け巡ります。今、世界は、新たな国際化時代に向かって大きな時代の変換点を迎えています。
一方、我が国の将来は、国際社会の中で存在価値を示し世界から尊敬される存在になる以外にはありません。世界と繋がるということは、異なる文化や多様な価値観と向き合うことです。このことは、新しい成長の源泉になります。また、世界と繋がることは、我が国の良さをしっかりと認識することでもあります。
我が国にとって、この時代の先に何があるのか見通すことは容易ではありません。なぜなら、これまでは見習うべき想定できるモデルがありました。これからは、見習うべきモデルはありません。むしろ、我々が世界の将来のモデルとなり、新しい社会や価値を創りだしていく時代を迎えています。

東日本大震災に際して、我が国の国民の皆様は、その国民性とも言うべき高い倫理観とボランテイア精神などを遺憾なく発揮しました。「日本の底力」として世界が賞賛し驚嘆したところです。これからは、我が国は、国際社会とともに、その模範となる社会を創りだす役割を負っていると言っても過言ではありません。
周知の通り、今日の社会には課題が山積しています。エネルギー・地球環境の持続可能性の確保や食料・医療・健康に関わる諸課題などは、我が国の課題でもあり、同時に人類として取り組むべき地球的規模の課題でもあります。さらに我が国には、少子高齢化に伴う労働人口の減少や社会保障の問題などの課題も、世界の先頭に立って受け止めなければなりません。これらの課題に取り組むことは、そのまま世界の課題解決にも貢献することにもなります。今や地域や一国の課題は、全世界が直面する課題にも繋がっています。
本学が、海外の数多くのパートナー大学と連携し、留学生の受け入れや本学学生の海外派遣等に取り組んでいるのは、将来社会においては、国際社会で活躍できる人が益々必要になるからです。

このような時代に生きていく本学の卒業生・修了生には、自らの力を十二分に発揮して新しい時代のあるべき姿を示し、自らそれを担っていくことが求められています。
勿論、本学の卒業生、修了生の皆様には、その力が充分に備えられていると確信しています。皆様は、本学の教育指針に応えて研鑽を積まれた結果、今日の日を迎えられた訳ですので、自信を持って社会に羽ばたいていただきたいと思います。

大学で研鑽したことの意味
皆様が、これまで、いろいろな方に支えられながら研鑽に励まれてきた理由は、ただ一つです。それは、「どのような時代の中であろうとも、皆様自身がしっかりと生き抜くことで、皆様自身のその存在によって、社会の人々の役に立つため」であります。
これまでも申し上げてきた通り、本学の卒業生・修了生の皆様は、決して社会の単なる一構成要員としての「人材」ではありません。社会の財産、宝としての「人財」です。このことを改めてしっかりと自覚して欲しいと思います。
社会の「人財」として活躍するために、まず、今のありのままの自分を認め、そこから出発してください。その先にさらに力をつけた自分を想定しながら努力することで、人は如何様にも伸びていくものです。自分を信じて、「社会の人々の役に立つ」ことを目標に、自分の道を極め歩んでください。
これからも研鑽を積んで、今までに培った力をさらに強化してください。本学の人材育成のモットーである「逞しさ」は、長い歴史を経て今も受け継がれています。何事にも果敢に挑戦するチャレンジ精神と失敗に怯まない「逞しさ」に磨きをかけていただきたいと思います。
未来は皆様が創りだすものです。未来は、皆様の手の中にあります。

君も誇りなり
私たち教職員は、皆様の人生の大切な時期に関わりを持てたことを「誇り」に思っています。ご承知の通り、今年度、本学の特徴を表すカルタの読み札を募りました。3000通近い応募の中から選ばれた最優秀賞は、私たちの気持ちを良く表しています。
「漱石も 八雲も君も 誇りなり」。皆様一人一人を心から「誇り」に思っています。
本学が目指すところの社会の「憧れの存在」となるための第一の指標は、卒業生・修了生の皆様が社会で思う存分活躍いただくことです。本学の真価は、卒業生・修了生諸君一人一人の人生にあります。皆様が熊本大学の卒業生・修了生として、「誇り」を持って、それぞれの立場で自らの夢を大きく実現されるとともに、その夢の実現を通して大いに社会に貢献されることを期待しています。
皆様を心から「誇り」に思い、また、社会の「人財」として成長されることを期待し、皆様のこれからの輝かしい人生を祈りつつ、卒業、修了に際しての心からの祝辞といたします。

皆様の未来にエール
最後に、「皆様の元気な声を聞いて、巣立っていく皆様の将来への決意の大きさを示していただきたい」と思います。また、重ねて、昨年の熊本での大豪雨からの復活にボランテイアで活躍してくれた留学生を含む多くの学生諸君への感謝と今なお被災地で頑張り続けておられる東日本大震災や九州北部豪雨の被災地域の皆様に、一日も早い復興を期して応援の気持ちを贈りたいと思います。

一人ずつのお名前を読み上げて決意をお聞きしたいところですが、学部等毎に卒業生、修了生の所属と人数を申し上げますので、その場でまず起立してください。
どの学部・研究科を出ても、社会では熊本大学卒業生・修了生ですので、全ての学部卒業生諸君は、最後に学部学生合計の人数を申し上げた直後に全員で、右手を大きく掲げて、元気よく"オー"と応じてください。大学院修了生も同じです。時間の関係で、学部と大学院の2回に分けて応じていただきます。声の大きさが皆様の決意の大きさであり、将来への力強さ、逞しさの表現です。また、我が国の将来への誓いと被災地域で頑張っておられる方々への応援の気持ちの大きさです。

それでは、学部から始めます。
【文学部194名】、【教育学部及び特別支援教育特別専攻科・養護教諭特別別科347名】、【法学部170名】、【理学部173名】、【医学部249名】、【薬学部83名】、【工学部545名】。
以上、学部卒業生 合計1761名!!
(オー) すばらしい元気と未来への決意をありがとう。

続いて大学院です。【教育学研究科37名】、【社会文化科学研究科78名】、【医学教育部46名】、【保健学教育部22名】、【薬学教育部40名】、【自然科学研究科397名】、【法曹養成研究科21名】。以上、大学院修了生 合計641名!!
(オー) ありがとうございました。
着席ください。
卒業、修了おめでとうございます。

以上、総勢【2402名(内、留学生65名)】の皆様一人一人に対し、熊本大学を代表し、皆様の輝かしい未来を祝福します。
おめでとう!!Congratulation !  and、Bon Voyage!!

平成25年3月25日
熊本大学長 谷口 功

卒業式・修了式会場 学位記・修了証書授与

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