最適な人材の採用を支援し、学内の労働環境をより良くする

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正しく公正な採用をチェックする人事・労務担当

健児くん(以下、◆):理事として担当している業務を教えてください。

八幡理事:私が担当しているのは、熊本大学内の人事、労務、そして教育学部附属小・中学校、特別支援学校、幼稚園などの附属学校園です。昨年まで教育学部長だったこともあり、附属学校園の担当もそのまま引き継ぐことになりました。

教員人事については、どんな人を採用するのか、どんな分野に力を入れるのか、については大学全体で基本方針を定め、各部局の要望も考慮しながら決められます。私は、採用や昇任の手続きが正しく、公正に行われているかをチェックし、手続きが円滑に進むようサポートするのが役割です。

2021年度から理事になりましたが、最初に女性教員を増やすための工夫に取り組みました。女性限定公募の手続きを明確化し、女性教員が応募しやすく、採用されやすくしたんです。今後は、そのほかでもいい人材が最適なやり方で見つけられるよう、いろいろな工夫をしていきたいと考えています。

哲学・倫理学の研究から道徳の授業の研究へ

◆:専門の研究分野を教えてください。

八幡理事:もともとは文学部出身で、哲学・倫理学が専門です。ですが、最初に赴任した大学では教員養成課程に携わっており、教員養成の中で哲学・倫理学の視点をどのように活かすかを考えていました。

熊本大学でも教育学部の教員として赴任しました。熊本大学では小中学校の教員を養成しています。小中学校では倫理や哲学を科目として教えないので、道徳に目を向け、どのように授業を組み立て、教えていくかについて研究、実践をしてきました。

長く教科外活動として取り組まれていた道徳ですが、小学校で2018年度、中学校で2019年度から教科の1つになりました。この動きの中、熊本市教育委員会の「熊本市道徳教育推進協議会」のとりまとめも任され、道徳に力を入れている学校への助言をしたり、教科書の編集協力を行ったりもしています。

◆:哲学・倫理学と道徳はつながるんですね。

八幡理事:道徳は深く考えると難しい問題がたくさんありますが、重要なのは「子どもたちが自由に考え、言いたいこと言ってもらうこと」だと思っています。子どもたちが感じている「そうは言っても」「なんかおかしい」という疑問や違和感の中には、哲学的な深い問題が隠されていることも多いんです。妥協なく、いろいろなところをついてくる子どもたちの方が哲学的です。そこをいかに引き出して、大人も一緒に考えていくか。その過程は、私の中で、哲学や倫理学の研究とつながっているんです。

カントを深く読み込んだ大学時代

◆:先生の大学時代にはどんな思い出がありますか。

八幡理事:まさに「疾風怒濤」の時代でした。研究室の先生はいい意味で放任的で、やりたいことをやらせてもらいました。まともにご飯が食べられないときに、家に招いてくれてご飯を食べさせてくれたという思い出もあります。

そんな中、のめり込んだのがドイツの哲学者、イマヌエル・カントの『判断力批判』という本です。大学2年のとき、ドイツ語の原書でカントを読む授業があったのですが、これが面白くて。カントには3冊の批判書があり、1冊目の『純粋理性批判』では「認識・世界・宇宙」について、2冊目の『実践理性批判』では「倫理・道徳・人間の生き方」について語っています。3冊目の『判断力批判』で取り上げているのは「美・生命」です。でも何を言っているのかよく分からなかったんです。

分からないまま読みすすめているとき、ある一節がぱっと理解できて、そのときの快感が忘れられなくて。20年以上こだわって、論文でも扱いました。

一番の核になっていると今も思っているのが「偶然的なものの必然性」という部分です。真逆のことを言っているようにも見えますが、たまたまだったものが、とても重要な要素になるということは、人生のいろいろなところにあると感じています。道徳の授業でも、たまたま子どもが言った言葉の中に、重要なものが含まれていることが多いですね。

先生を活用して、深い学びにつなげてほしい

◆:先生のご趣味は?

八幡理事:実は料理です。大学生になる子どもがいますが、彼らの離乳食から作っていました。スーパーに行って旬のものを見ながら何を作るかを考えるのが楽しいですね。家族に「また作って」と喜ばれるのもうれしいです。おいしいものを食べて嫌がる人はいません。ほんの3~4分の調理でもとても幸せな気持ちになれるというのが癒やしになっています。

◆:学生の皆さんにメッセージをお願いします!

八幡理事:熊大の先生たちは自分の研究に打ち込んでいる、という人が多いと思います。だからとっつきにくいな、声をかけにくいな、と思うこともあるかもしれません。でも、そんな先生たちも、意欲的に学ぶ学生との出会いは楽しみにしているんです。授業も、よくよく聞いたら分からないことの方が多いと思います。積極的に声をかけて、質問して、大学教員をもっと使ってください。きっと授業では聞けなかったいろいろな話をしてくれて、新しい学びにつながると思いますよ。


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(2022年5月31日掲載)

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総務課 広報戦略室

096-342-3269