コロナ禍の留学 [文学部4年 小田 遥香さん]

logo.jpg

image01.jpg

image02.jpg

なぜアイルランド? 工科大学は理系?

学生広報スタッフ(以下◆):なぜウォーターフォード工科大学を選んだのですか?

小田さん:高校で世界史を学んだときから、ヨーロッパの文化に惹かれていて、いつか行きたいとは思っていました。せっかく留学するから、留学先で日本人と集まりたくなかった私にとっては、イギリスやアメリカに比べて、日本人留学生が少ないアイルランドは魅力的でした。大学自体の決め手は、熊本大学ではなかなか学ぶことができない、観光に関するコースや授業があったことです。

最初は、「工科大」と聞くと、理系のイメージがありました。しかし、熊本大学の交換留学先一覧に文系もある旨が書いてあったのです。何があるか気になって調べたところ、私が学びたかった観光のコースがあり、面白そうだなと思いました。


image03.jpg

◆:学校生活はどうですか?

小田さん:特定のコースには所属していませんが、私は主に「ツーリズムマーケティング」というコースの授業をとっています。全部で4つの授業をとっていて、3つが「観光とデジタルマーケティング」、1つが「インターナショナルマーケティング」です。私が熊本大学で所属している、コミュニケーション情報学科内のマーケティングの授業で、マーケティングに興味をもったため、観光のマーケティングを学んでいます。

デジタルマーケティングの授業では、FacebookInstagram上の広告を実際に分析して、より良い宣伝を考えます。インターナショナルマーケティングは、グローバルに活躍する企業になるための方法を学ぶ授業です。

 

クラスの規模は、一番多くて40人ほど。一番少ないクラスで5人です。初めて教室に行った時には、あまりに少なかったのでとても驚きました() クラスの規模が大きいと、先生のお話を完全に聞くだけになってしまいます。しかし、少人数クラスでは先生も一人一人の意見を聞いてくれて、あまりためらわずに発言でき、積極的になれるので好きです。

授業内で驚いたことは、クラスの規模が大きくても、分からないことがあれば、先生が話している最中でも学生が質問することです。日本では絶対ないじゃないですか? 積極性の違いなのか、ためらいもなく聞くところには驚きましたね。

 

課題はけっこう大変です。週単位での課題はありませんが、学期末の課題に向けて、自分で調べたり、文献を読んだりする必要があります。英語で書かれた論文の記事を探して読むのは、時間がかかって苦労します。

授業が終われば、2人のルームメイトがいる学生寮に帰ります。1人はマレーシアからの男子留学生で、もう1人はインドからの女子留学生です。男女混合だと思っていなかったので、最初はびっくりしました()  リビングとキッチンが共同で、各自の部屋にシャワーとトイレが付いています。部屋によっては関わりがないルームメイトもいるらしいですが、私たちは一緒にご飯を作って食べるなど仲が良いです。

現地に来るまでは、食べ物が美味しくないのでは? と思っていましたが、美味しくないものに出会ったことはまだありません。ただ、基本的には自炊です。アジアスーパーで日本の食材や調味料を手に入れられるので、ほとんど日本食を作ります。

image04.jpg

学食は熊本大学のものと形式が似ていて、欲しいものを伝えれば取り分けてもらえます。今は休止中ですが、バーもあります。アイルランドはお酒を飲む人が多い印象があったのですが、コロナ前は授業の合間に、学内のバーでお酒を飲んでいたと現地学生から聞いたのは驚きましたね()

週末には、友達と集まってパーティーをしたり、サイクリングに行ったり、遠出してアイルランドの他の都市に遊びに行ったりしています。ウォーターフォードで好きなところは、近くの中心街にある広場です。週末にはストリートライブが行われるので、それを鑑賞したり、お昼ごはんを食べたりします。すごくのんびりとしていて、良い休日だな~と感じます。

 
image05.jpg

直前まで留学できるか分からず、留学準備と並行して就活

◆:コロナ禍だからこそ経験したことはありますか?

小田さん:留学中よりも、留学前の方がコロナ禍だからやらなければならないことが多かったですね。ワクチンの接種証明や隔離、出国72時間前にPCR検査を受けるなど。

でも、一番大変だったのは、渡航1カ月前に正式に留学が決まったことです。コロナ禍で直前まで行けるか分からず、どちらかと言えば、留学できないと思っていたので、留学準備と並行して就活もしていました。両立させるのが精神的にとてもつらかったので、一度は辞退したいと大学に相談したこともありました。でも、7月半ばにやっと留学の許可が下りて、814日の渡航になんとか間に合わせることができました。

2週間の隔離期間では、一緒に住んでいた子ととても仲良くなれました。彼女は、マレーシア出身で、ウォーターフォード工科大学への留学生でした。今も彼女や、彼女の友達とよく集まっています。

現地では、ノーマスクが当たり前になっていますが、レストランやカフェでは、ワクチンの接種証明書が必要です。EUの人はEU共通の証明書がありますが、私は日本の証明書を持ち歩いています。

image06.jpg

◆:英語に不安はありましたか?

小田さん:自分の英語力は決して高いとは言えませんでしたが、正直、あまり不安はありませんでした。「行ったらどうにかなる!身振り手振りでも伝わる!」という考えだったので()

でも、いざ現地で英語を使ってみて、自分はまだまだだなと実感しました。言いたいことをすぐに言えないので、現地に着いて初めて不安になりました。

ヨーロッパの大学は、留学生の語学力の条件にIELTSを用いているところが多かったので、留学前はIELTSを受けていました。熊本大学内のIELTS講座を受けていて良かったです。それまでWritingの知識はありませんでしたが、そこで初めて知識を得て、添削までしてもらい、復習したら、最終的には4技能のうちWritingのスコアが一番よくなりました。

Speakingは練習相手がいなかったので、難しかったです。ListeningReadingは、ネット上のフリーの練習問題や過去問を解いて勉強しました。

◆:現地の人はどうですか?

小田さん:大学に限らず、現地の人はみんな優しく、親切で明るい人が多いです。留学初日に空港で迷った時に、バスの運転手さんに頼ったら、本当に親切で。嫌な顔ひとつせずに手を差し伸べてくれました。その時から、この国の人は親切なんだなというイメージがずっとあります。

現地の人から見た日本人のイメージについて言えば、日本人に対して、驚くほど良いイメージを持っています。礼儀正しく、きちんとしていると思われているみたいで。「どこ出身?」と聞かれて、日本と答えると、毎回「すごい、最高だよね!」と言われます()  一度、「日本人は素晴らしいから、日本人として誇りを持ってね!」とまで言われました。何でそれほど良いイメージがあるのだろうと不思議に思いますが、毎回そのような反応を受けるので、日本人であることが誇らしいです。

留学の意味は、視野を広げること

◆:留学をして変わった考えはありますか?

小田さん:夜は静かにする、あまり迷惑をかけないなど、自分が当たり前だと思っていたことが、他文化の人にとっては当たり前でないということが、大きな気づきでした。

最初はいやなことも我慢しているだけでしたが、それではストレスが溜まります。ルームメイトがいるので、彼らにこうしてほしいと伝えられるようになったのは、自分の中で大きな変化だったと思います。

私は3年生の夏から留学しているので、5月末に帰国したときには、4年生前期の授業をとることができません。そこで、6月から3月まで休学し、4月から4年生になります。休学中は、インターンに参加し、就活に集中するつもりです。

就職については正直、まだ全然決まっていません。もしかしたら、観光関係ですらないかもしれないです。でも、留学の経験は本当に貴重なものだと思っています。英語や観光に関する知識はもちろん活かせたら良いですが、自分の知識や見識を広げて、もっと幅広く物事を見ることができるようになったら良いなと思います。

 

◆:留学をしたい人にメッセージをお願いします。

小田さん:色々な人と関わったり、色々な文化に触れたり、考える機会もたくさんあって、本当に本当に、留学は貴重な経験になると実感しています。留学をしたいと思うなら、準備の時間や費用はかかりますが、絶対に後悔しないように、挑戦してほしいです。


(2022年5月20日掲載)

お問い合わせ

総務課 広報戦略室

096-342-3269