年頭所感

明けましておめでとうございます。
harada2015.jpg 皆様におかれましては、健やかな新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

月日が経つのは早いもので熊本地震の発生から2年が過ぎようとしています。昨年、本学では地震によって被害を受けた設備・備品の復旧を精力的に行いました。

建物については、建て替えが行なわれている工学部1号館と教育学部附属小学校管理棟は、本年も工事が継続されます(教育学部附属小学校管理棟は6月末に完成予定)。また、五高記念館などの文化財関連の建物の復旧は平成33年度までかかる予定です。

一般に、大規模な災害が起こると災害直後は様々な資金が流入し、一時的に景気は回復するものの、その後は減衰し、その減衰を如何に抑えるかが問題とされています。本学の場合も同様で、環境の復旧がほぼ終了した今こそ如何に教育、研究、社会貢献の活動を活性化させていくかが問われてくると思います。

そこで今年、平成30年(戌年)は、 「復興から活性化」へ の年としたいと思います。

1)教育の活性化
大学の本分は人材育成です。学部・大学院においても教育が最大の問題となります。「大学教育統括管理運営機構」と「グローバル教育カレッジ」の機能を最大限に活用し(勿論、教職員の協力が必須ですが)、教育の活性化を図ります。アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシーの3つのポリシーの教職員の理解とその運用の加速化、パッケージ制が導入された教養教育と教育全般の質の保証と国際化の充実、平成33年度からの入試改革へ向けた準備を精力的に進めることなどが挙げられます。

2) 社会貢献の活性化
熊本復興プロジェクトは着実に成果を収めました。本プロジェクトの成果も含めた地震からの復旧に関しては、学内が一致団結して対応いただいた結果、お陰様で平成28年度に係る業務の実績に関する評価では、「特筆」という最高の評価をいただきました。その成果の一部をもとに、「くまもと水循環・減災研究教育センター」や「熊本創生推進機構」を設置いたしました。今年はさらに熊本創生推進機構の機能強化を図り、地域産業振興、人材育成、雇用創出などを進めていきたいと思います。また、薬学部に設置された「自然共生型産業イノベーションセンター」も本年から本格的な活動が期待されます。

3)戦略的大学運営による組織の活性化
学長裁量ポストの戦略的配分を強化します。人事は研究を始めとした組織の活性化には非常に重要なものです。これまで行動計画で機能強化に取り組む部局には、学長裁量ポストを配分してきました(昨年は18ポストを配分)。しかし、組織活性化のためには、もっと人事が行えるようなシステムを作る必要があります。組織・部局の機能強化に必要で、基準を満たすことができれば、昇任人事を行えるようにしていきたいと思います。また、組織・部局の機能強化に必要で、部局長裁量経費等の財源で人件費を確保することができれば、学長裁量ポストを貸与します。そうすることにより、部局の将来像を見据えた人事を行っていただきたいと思います。25%を学長裁量ポストへ転換することが不可能な小規模部局等では、そのまま単独では機能強化することができず先細りの状態にあります。従って、強化のためには「選択と集中」を行う必要があり、類似の小規模部局等との集約化や連携強化も進めたいと考えています。

厳しい財政状況が続いておりますが、恐らく今年も厳しくなると思います。希望の持てる復興、創造的復興へさらに前進し、熊本大学を未来に繋いでいくための大学改革を進めたいと思いますので、今後とも皆様のご支援とご協力をお願いいたしまして、年頭の挨拶といたします。今年もどうぞよろしくお願いいたします。


平成30年1月4日
熊本大学長 原田信志

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