平成26年度熊本大学 卒業式・修了式 式辞

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本日、ここに、ご来賓各位のご臨席を賜り、理事・副学長・部局長と共に平成26年度の卒業式・修了式を挙行できることは大きな喜びでございます。卒業生・修了生の皆様、卒業、修了、誠におめでとうございます。

本日の式典にあたり、卒業生・修了生の皆様には、今日の日を迎えられましたことに対して心よりお祝い申し上げますとともに、今日までの研鑽に深く敬意を表します。また、皆様を誇りに思います。
特に、留学生の皆様方には、母国の期待を担い、留学を立派に終えられました。母国を離れての勉学には幾多の困難があったものと推察いたします。今日の日を迎えられた17カ国1地域からの留学生の皆様には、おめでとう、Congratulations, You did very good job!と申し上げます。本学で修得されたことを充分に活用され、これからも皆様の母国と我が国の架け橋となって益々ご活躍いただくことをお願いいたします。
もとより、卒業生、修了生の皆様がこの日を迎えるにあたっては、ご家族の皆様はじめ友人の協力や励まし、教職員や諸先輩の温かなご指導・ご助言など、幾多の支援があったものと思います。本日、皆様が手にされた学位記には、お世話になった方々の様々な気持ちが幾重にも込められています。本日の卒業・修了の喜びを、是非、ご支援いただいた皆樣方とともに、感謝の言葉を添えて、分かち合っていただきたいと思います。
この場をお借りして、卒業生、修了生を深い愛情によって支えてくださったご家族をはじめ、ご指導・ご助言をいただいた教職員、諸先輩、友人の皆様、さらには日常生活を支えていただいた地域の皆様はじめ関係各位に対し、本学を代表して、心より深く感謝申し上げます。

今年度の卒業式・修了式は、私自身にとっても二つの意味で特別なものでございます。一つには、ご承知の通り、4年前の3.11の東日本大震災の直後に入学してこられた学部生の最初の卒業になるからです。4年前の新入生に「学長特別講義」を始めさせていただき、大学での学びの意味をお話させていただきました。その講義を聴いてくれた第一期生が、本日、学部を卒業する皆様の中に多くいるはずです。入学のときの「志」を忘れず社会の宝、財産としての人「財」として育って欲しいと申し上げた皆様ですから、きっと社会の人「財」になるための研鑽を積まれて今日の日を迎えられたと思っています。
それから、もう一つは、私自身も皆様と一緒に、今年度で卒業いたします。今年度が私にとって最後の卒業式・修了式ですので、特別なものと申し上げた次第です。


グローバルな世界で、倫理観を持って、自ら考え行動する人になれ!
さて、本日の卒業式・修了式にあたり、卒業生・修了生の皆様に、まず、「グローバルな世界と繋がり、自らを律し、自ら考え行動する人間になっていただきたい」ということを餞の言葉にしたいと思います。
今日、急速にグローバル化が進む社会は、世界規模で新しい時代の大きなうねりの中にあります。社会のグローバル化は、それを避けて通ることはできません。物事は、何事も世界的な視野の中で考えなければならなくなっています。我々は、新しい時代に向かって生きて行くことを再度認識しておく必要があります。皆様が社会で活躍する10年後、20年後は今とはまた大きく異なった世界があるはずです。従って、私達に求められているものは、自らの将来の姿に思いを馳せながら、未来に向けて今後も研鑽を積み重ねるとともに、世界の人々と繋がりを持って、お互いに多様な価値を認め合い、国際人としての高い倫理観に裏打ちされた行動規範の下に、自ら考え行動する力です。
重ねて申し上げます。まず、世界と繋がって欲しいと思います。
特に、グローバル社会の中にあっては、物事の考え方や課題の解決法も異なってきます。今後の持続可能な社会の構築に向けて、世界と繋がった視点や英知が必要です。本学の学生諸君は、我が国の「トビタテ留学JAPAN」プログラムに果敢に挑戦して、すばらしい実績を挙げています。皆様には、是非、自ら進んで積極的に機会をつくって、生のグローバルな世界と触れ合っていただきたいと思います。
我が国の将来は、国際社会の中でしっかりとその存在価値を示し、世界と繋がって世界から尊敬される以外にはありません。本学が、海外の数多くのパートナー大学と連携し、留学生の受け入れや本学学生諸君の海外派遣等に取り組んできた所以です。
世界と繋がるということは、異なる文化や多様な価値観と向き合うことでもあります。このことは、皆様にとっても新しい成長の源になります。また、我が国や地域、そして皆様自身の良さをしっかりと認識することでもあります。そして、世界と繋がっていくためには、互いに心を通わせ、互いを理解するためのコミュニケーション力が重要で、それを磨くことも、当然、求められます。

もう一つ、国際的な視野とともに求められるものとして、今改めて、人としての倫理観の再認識が極めて重要な課題となっています。
ご承知の通り、昨年は、「研究不正」の問題がクローズアップされました。青色発光ダイオードの発明と実用化というすばらしい成果によって3名の日本人がノーベル物理学賞に輝くというすばらしい出来事があった反面、「研究不正」が後を絶たないことも大きく取り上げられ、学術研究に対する社会の信頼を失墜させたことは、教育研究機関としての大学に身を置く者として、痛恨の極みです。
学術研究者の集団である日本学術会議や国立大学の集まりである国立大学協会などが一緒になって、未来社会を導くための学術の存在価値を自ら否定する「不正」に関して、その予防に努め、不正には厳正に対処することに全力を挙げて取り組むことを全世界に対して声明を出す事態に至っていることを重く受け止めなければなりません。過日発表された調査報告で、本学もこのことに無縁では無く、本学在籍研究者の過去の研究報告の一部に不適正なものがあったと報告されています。誠に遺憾です。
学術研究は、人や社会の発展の原動力であり、人類の崇高な活動の一つです。したがって研究者はもとより、学生諸君を含めて、分野を問わず広く研究活動に携わる全ての者は、自らの良心に従って、不正は許されないことを改めて肝に銘じて欲しいと思います。これから研究者の道を歩む者も、また社会に出て様々な活動をする場合にも、いかなる理由があっても、自らの存在を否定することになる「不正」は許さない、許されないことを再度確認しておいていただきたいと思います。
一方で、例えば、本学の自然科学研究科の河村能人教授は、「クマダイマグネシウム合金」の研究成果で2012年度の科学技術政策研究所選定の「ナイスステップ研究者」はじめ今年の「日本クリエイション大賞」等、数々の賞に輝いておられます。また、同じく生命科学研究部の満屋裕明教授が「エイズ治療薬の開発と長年にわたる国際協力」の分野での活躍で、昨年「第21回読売国際協力賞」を、また、今年になって「朝日賞」に加えて「日本学士院賞」を受賞されています。 いずれも我が国はもとより国際社会に対する顕著な貢献です。他にも多くの先生方が世界のトップクラスの顕著な学術的貢献で数々の表彰を受けておられます。
皆様は、国際社会の中で信頼される真のリーダーとして国際社会を担う役割を求められています。これまでに身につけた幅広い教養力、深い専門力、そして魅力あふれる人間力などを十二分に活用して、物事の是非を判断しながら、何事にも興味を持って積極的に関わり、コミュニケーション力を発揮して多様な人々と直接触れ合うことを大事にして欲しいと思います。そして、「自ら考え、自らを律しながら、世界で行動する人間」になっていただきたいと思います。


本学は100年後も輝く大学として飛躍する!
本学は「100年後も輝く大学」として飛躍することを目指して努力しています。ご承知の通り、本学は、2013年に、これまでの高度な研究活動が評価され、国の「研究大学強化促進事業」に採択され、国公私立の約800の大学の中から我が国を代表する22の研究拠点大学の一つとして選定を受けました。さらに続いて、昨年、地域の発展に寄与する「地(知)の拠点(COC=Center of Community)整備事業」および地域を国際社会に繋ぐ役割を担い、社会や教育のグローバル化を牽引する「スーパーグローバル大学創成支援事業」にも採択され、国際社会で活躍する人材を育成するスーパーグローバル(SGUまたはトップグローバルと言われる全国37大学の一つ)大学として認定されるなど、本学は、我が国の基幹大学に対する国の主要な支援事業を獲得して、我が国トップクラスの国際的な大学として、今後益々の飛躍が期待されています。これに応えて本学は、これからも一層の努力を重ね、「100年後も輝く大学」としてさらに大きく飛躍することを目指し、社会の皆様との信頼関係を揺るぎないものとすることに務めたいと思います。


研鑽を継続して社会の人「財」に、そして「誇り」を持って活躍を!
このようなトップクラスの大学で研鑽を積まれてきた本学の卒業生・修了生の皆様は、これまで常に申し上げてきた通り、決して社会の単なる一構成要員としての「人材」ではありません。社会の宝、財産としての「人財」です。また、皆様が、これまで、大学生活の中で努力を重ね、研鑽に励まれてきた理由は、皆様が、社会の宝であり財産として「皆様自身の活動によって社会の人々の役に立つため」です。そのために、直接、また間接的に社会から支えられてきたわけです。本日の卒業・修了に当たり、皆様にはこのことを、改めて思い起こしていただきたいと思います。
本学の人材育成目標の根幹である「逞しさ」は、長い歴史を経て今もしっかりと受け継がれています。本学は、ご承知の通り、「創造する森 挑戦する炎」のコミュニケーションワードを学内外に向けて発信しています。このコミュニケーションワードは、皆様の輝く将来への思いと軌を一にする言葉になっていると思っています。輝く未来のために、様々な英知を結集して、研究拠点大学として新しい価値がどんどん創造され、育てられ、また、いかなる困難の中でも、怯むこと無く、具体的に課題を解決していくという本学の伝統的な姿勢を示しています。熱い思いでチャレンジする高い志に満ち溢れた学生諸君が本学の「宝」であり「誇り」であることを示しています。
人は努力で如何様にも成長していくことができます。自分を信じて、「社会の人々の役に立つ」ことを目標に、継続して研鑽に励み、「誇り」を持って、自の道を極め歩んでください。
未来は皆様が創りだすものです.未来は、皆様の手の中にあります。

私たち教職員は、皆様の人生の大切な時期に関わりを持てたことを「誇り」に思っています。卒業生・修了生の皆様一人一人を心から「誇り」に思っています。
本学が社会から支持され、応援いただける「憧れの大学」であるための第一の指標は、卒業生・修了生の皆様が社会で思う存分活躍いただくことです。本学の真価は、卒業生・修了生諸君一人一人の人生にあります。皆様には、それぞれの立場で自らの夢を大きく実現されるとともに、その夢の実現を通して大いに社会に貢献されることを期待しています。
皆様のこれからの輝かしい人生を祈りつつ、卒業、修了に際しての心からの祝辞といたします。


卒業生・修了生の皆様の輝かしい未来にエール
最後に、皆様の元気な声を聞いて、巣立っていく皆様の将来への決意の大きさを示していただきたいと思います。また、重ねて、東日本大震災の被災地域の皆様に、一日も早い復興に向けて、応援の気持ちを持ち続けることを誓いたいと思います。
皆様一人一人お名前を読み上げて決意をお聞きしたいところですが、学部毎に卒業生・修了生の所属と人数を申し上げますので、その場でまず起立してください。
どの学部・研究科を出ても、社会に出れば熊本大学(くまだい)の卒業生・修了生ですので、最後に学部学生、合計何名とその人数を申し上げた直後に、全ての学部卒業生諸君は、全員で心を一つにして、右手を大きく掲げて、元気よく"オー"と応じてください。
大学院修了生も同じです。時間の関係で、学部と大学院2回に分けて応じていただきます。留学生の皆様もそれぞれの学部、大学院に加わってください。声の大きさが皆様の決意の大きさであり、将来への力強さの表現です。また、我が国や世界の将来への希望の大きさです。さらに被災地域で頑張っておられる方々への応援の気持ちの大きさでもあります。

では始めます。
【文学部185名】、【教育学部及び特別支援教育特別専攻科・養護教諭特別別科353名】、【法学部200名】、【理学部175名】、【医学部246名】、【薬学部87名】、【工学部524名】。
以上、学部・専攻科・特別別科 卒業生 合計1770名!! (オー)
すばらしい元気と未来への決意をありがとう。
続いて大学院です。 前期課程(修士課程)と後期課程(博士課程)一緒に行います。
【教育学研究科35名】、【社会文化科学研究科64名】、【医学教育部74名】、【保健学教育部17名】、【薬学教育部35名】、【自然科学研究科416名】、
【法曹養成研究科3名】。以上、大学院・修士及び博士修了生 合計644名!!
(オー)ありがとうございました。
卒業、修了おめでとうございます。

以上、総勢【2414名(内、留学生69名)】の皆様一人一人に対し、熊本大学を代表し、皆様の輝かしい未来を祝福します。
おめでとう!! Congratulations !!  and, Bon Voyage!!

平成27年3月25日
熊本大学長 谷口 功

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