就職先企業に対して博士人材の採用意欲を調査

【ポイント】

  • 本学の卒業生(学部卒)・修了生(大学院修了)の就職先企業・団体1,032社(団体)を対象に、本学の卒業生・修了生が身に付けている知識・技能に対する社会での評価や就職先企業・団体の人材育成計画等を把握するためのアンケート調査を実施。
  • 長期的な人事政策として理系博士人材を「増やしたい」と回答した企業・団体は約2割。
  • 熊本県企業・団体の博士人材に対する採用意欲は全国平均と同水準であった。

【概要説明】

熊本大学 大学教育統括管理運営機構では、「熊本大学卒業・修了生就職先アンケート」調査を実施しました。この調査は、本学の卒業生(学部卒)・修了生(大学院修了)が身に付けている知識・技能に対する社会での評価や就職先企業・団体の人材育成計画等を把握することを主な目的としています。調査対象は、本学の卒業生・修了生の就職先企業・団体1,032社(団体)で434社(団体)から回答があり、無効票を除外した有効回答率は41.1%でした。

本調査では、企業・団体が長期的な人事政策として新規採用者に占める学部卒・大学院修了の割合をどのように考えているのかを文理別に尋ねました。新規採用者に占める学部卒・大学院修了の割合を「増やしたい」と回答した企業・団体の比率を文理別に集計した結果、以下の点が明らかとなりました(図1参照)。第1点目として、文系、理系共に学位の段階が上がるほど徐々に数値が減少していました。この結果は、新規採用者の中心が依然として学士課程卒業者(学部卒)にあることを示しています。第2点目は、学士、修士、博士のいずれの学位においても、文系と比較して理系の数値が顕著に高いことが分かりました。これは、企業・団体における「理高文低」の人材ニーズをあらわしているものと思われます。第3点目として、約2割の企業・団体が新規採用者に占める理系大学院博士課程修了者の割合を「増やしたい」と回答していました。このことは、一定数の企業・団体が理系大学院博士課程修了者に対して人材としての積極的な価値を見出しているとも解釈可能です。

続けて、文系または理系の大学院博士課程修了者(以下、博士人材)を「増やしたい」と回答した企業・団体の比率を、属性別に集計し、傾向を確認しました(図2および3参照)。まず、本社所在地別に回答傾向を検討したところ、地域による相違は比較的少ないことが判明しました。また九州地方、中でも、熊本県に本社を置く企業・団体における博士人材の採用意欲は、回答全体(全国平均)と同水準でした。この結果は、地域経済の活性化や産業の高度化・高付加価値化を牽引するイノベーション創出人材として博士人材に対する期待が全国的に高まっていることを反映しているものと思われます。次に、従業員数別の回答傾向を確認したところ、従業員数が1299人、300999人の企業・団体で、約25%が博士人材を「増やしたい」と回答しているのに対して、1,000人以上・官公庁では14.2%にとどまっていました。最後に、産業によって回答傾向の相違を確認したところ、学術研究・専門技術サービス業、サービス業【他に分類されないもの】、医療・福祉といった産業において博士人材の採用意欲が他業種に比べて高いことが分かりました。

本学では、今回の調査結果を今後の教育改善のための基礎資料(エビデンス)として活用する予定です。

【詳細】 プレスリリース本文 (PDF596KB)

お問い合わせ  

(調査内容に関すること)
熊本大学 大学教育統括管理運営機構 評価分析室
准教授   菅澤 貴之
電話:096-342-2821
e-mail:tsugasawa※kumamoto-u.ac.jp

 (報道に関すること)
熊本大学 学生支援部 教育支援課 学務企画チーム
教育評価担当
電話:096-342-2755
e-mail:gak-kyomu※jimu.kumamoto-u.ac.jp

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