熊本地震から10年——より強靭な社会の創生に向けて 〈熊本大学長 小川久雄〉
熊本地震から10年——より強靭な社会の創生に向けて
2016年4月14日の前震、そして4月16日未明に発生した本震。私たちは忘れることのできない夜を経験しました。あれから10年。今この節目に、熊本大学は地震から得た学びと使命を改めて胸に刻んでいます。
熊本地震の発生時、私は国立循環器病研究センターの理事長に就任したばかりでしたが、発災から数日後には帰熊し、医療チームとともに被災地での救援活動にあたりました。そこで痛感したのは、大規模災害時には多方面から集まる支援を束ねるリーダーシップの重要性です。熊本大学は、附属病院を擁する県内唯一の総合大学として、医療のみならず防災を専門とする研究者も擁しています。地域に非常事態が生じたとき、その知見と組織力をもって対応の先頭に立つこと、それが私たちの責務であるという覚悟を、10年の節目に新たにしています。
復興とは、元の状態に戻ることではありません。経験と教訓を力に変え、以前よりもさらに強く、しなやかな社会をつくること、それが真の復興だと考えます。この10年、熊本大学は教育・研究・社会貢献の各面でその役割を着実に果たしてきました。2024年度の情報融合学環・工学部半導体デバイス工学課程の新設に続き、2026年度には共創学環を開設し、持続可能な社会の実現を担う多様な人材の育成に取り組んでいます。
熊本県の半導体産業に代表されるように、地域の産業基盤は力強く発展しています。こうした堅固な基盤こそが、万が一また大きな災害に見舞われたとしても、地域を確かに立ち上がらせてくれる源泉になると信じています。
熊本大学はこれからも、教育・研究・社会貢献という大学の使命を果たしながら、打ちのめされても必ず立ち上がれる、強靭な熊本の創生に全力で取り組んでまいります。
令和8年4月14日
熊本大学長 小川 久雄
小川学長のメッセージは熊大通信Vol.95巻頭特集でもご覧いただけます。

熊本地震で、ドクターカーとともに活動する国立循環器病研究瀬センター医療チーム
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