WEBマガジン「KUMADAI NOW」福島の子どもたちに笑顔を贈りたい

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福島の現実(いま)に向き合う

image_02.jpg 2011年3月11日、東日本大震災は未曽有の被害をもたらし、さらに東京電力福島第一原子力発電所(以下、福島第一)の事故をも引き起こしました。炉心融解などが生じ、放射性物質の放出を招いた原子力事故は、今も終息に向け、作業が続いています。
福島第一の事故によって、避難生活を余儀なくされたり、外で自由に遊ぶこともできない福島の子どもたちを熊本へと招待し、のびのびと過ごしてもらおうという取り組みが「0円キャンプスクール」。熊大生が中心となって、2014年も開催されました。
事務局長を務めていた文学部4年・小笠原 遥さんは、震災直後の2011年に熊大に入学。“子どもの権利”について研究する中で、被災地の子どもたちが外で自由に遊ぶこともできず、食事にも気を使う現状を知りました。「自分にできることはないかと考えていたときに、“ゼロキャン”の取り組みを知り、飛び付いたんです」。
「0円キャンプスクール」という名前の通り、参加者には経済的負担はありません。福島から熊本までの交通費を実行委員会で、滞在中に必要な食費ほかの経費は、それぞれの受け入れ先で負担します。「資金調達が一番の大仕事」と語る小笠原さん。「一般に寄附を募るほか、募金活動、フリーマーケットの開催、助成金の活用など、できることは何でも実践しています。ほかにもオリジナルグッズを作って販売しているんですよ。これまで行政・クリエーター・旅行業など、プロの皆さんのご協力のおかげで、実現することができました。皆さんへの感謝を胸に、今年も福島の子どもたちに会えるようにがんばっています」。
ボランティアである“ゼロキャン”を支えているのは、これまで出会った子どもたちの笑顔。にっこり笑ってくれるその瞬間のために、全力投球の毎日を送っています。

福島の子どもたちの心の殻を開く

image_03.jpg 福島の子どもたちを迎えた時に、普段の生活が垣間見えたという小笠原さん。「福島から熊本へ向かう電車内で『みんなは熊本で何がしたい?』と子どもたちに尋ねたところ、『とにかく外で遊ぶ!』『海で泳ぎたい!』『フルーツ狩り!』など、次から次に元気な答えが返ってきました。中には、『熊本は水がきれいなんでしょ、お父さんと勉強してきたよ』とニコニコ教えてくれる子もいたんですよ。主催者、そして熊本県民としてはかなりうれしいことですが、今答えてくれた“熊本でやりたいこと”はイコール、“福島ではできないこと”なんだと思うと切ないですね。今も子どもたちにとって福島は“誇り”。しかし、子どもたちの願いは、今はまだ当たり前に叶えられないのが現状です。もし熊本で叶えられることがあれば、私は何でもお手伝いしたいと考えています」。
これまで“ゼロキャン”で、子どもたちを受け入れてくれたのは、球磨郡錦町・八代市・水俣市・菊池市・天草郡苓北町などの皆さんです。地元の子どもたちとの交流や農業をはじめとする多彩な体験など、プログラムにひと工夫もふた工夫もして、子どもたちを温かく迎えてくれました。「受け入れ先の皆さんがとても大らかに接してくださり、子どもたちをできるだけ自由に遊ばせてくれる。最初は緊張して、いろんなことに躊躇していた子どもたちが、帰るころには別人のように生き生きとして、全く表情が変わっていたほどです」と引率を担当した教育学部3年・森いずみさん。
福島から熊本へ向かう道中では、ゲームに興じる子どもが多く、“心の殻”が垣間見えたものの、お別れのときにはお世話になった地元の“お父さん”“お母さん”に抱きついて、泣きだしてしまう子もいました。子どもたちは心を開き、また福島でがんばる元気を“充電”して帰路につく、それが“ゼロキャン”の力なのです。

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一生を賭ける価値のある活動

image_04.jpg “ゼロキャン”はまた、参加する学生スタッフにも成長する力をもたらします。この春からスタッフとして参加した医学部2年・杉野 大さんは、「九州など、被災地よりも西側に住む人にとっては、福島第一原発事故を身近な出来事として受け入れられていないと思うんです。ヤバいことが起きたことは分かっても、現実的ではない。私自身もその一人でした。しかし、いろんな思いの子に接する中で、理解できた部分が大きいですね」と振り返ります。楽しかった思いを経験すれば、辛い時の支えになると語るのは森さん。「私にとって“ゼロキャン”の活動が、日々の力になっているんです。子どもたちにとってもそんな力になってほしい。そんな“ゼロキャン”で在り続けたいと思っています」。
小笠原さんは「一生賭けてやっていきたい。『みんな、あなたたちのことを大切に思っているよ、いつも見守っているよ』と伝え、今後もずっと支えていきたいですね」と、その決意を語ってくれました。そのためにもスタッフの増員は喫緊の課題です。「運営や引率など大変な部分もありますが、やりがいはどんなサークルにも負けません。まずは“ゼロキャン”の活動を知ってもらい、学生の皆さんが一人でも多く入ってほしいですね」。
海沿いの町では“海”に、山里の町では“火”に触れ合うプログラムを組み込んで、地域と子どもたちの交流を進めること。そして何よりも、子どもたちが大好きなことを楽しんでもらうことが“ゼロキャン”の願いです。「子どもたちの笑顔に会いたい!」という思いを胸に、メンバーは今日も走り続けます。

(2014年10月6日掲載)

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