WEBマガジン「KUMADAI NOW」“呼吸”を読み、前へ!ボートが人と人をつなぐ

now-short.jpg

image_01.jpg

夏目漱石ゆかりの五高端艇部から118年

image_02.jpg 熊本大学ボート部の創立は明治28年(1895年)。旧制第五高等学校端艇部として創部され、翌年に松山中学から赴任してきた夏目漱石が、第2代部長を務めたという歴史が残されています。
創部から118年もの伝統を有するボート部をけん引するのは、工学部2年・徳永 駿さん。「数多い部活の中でも、ボート部はとても真面目に部活に取り組んでいることが魅力でした。厳しい練習の中でもみんなの結び付きが強くて、この集団の中に入りたいと思ったのが、入部を決めた理由です。119代の主将とあってプレッシャーを感じることもありますが、だからこそやりがいもありますよ」。
下江津湖の熊本大学艇庫には約20艇のボートや機材が備えられていますが、それは先輩たちの寄附や支援によってそろえられたものばかり。1艇80~350万円もの高額なボートを購入できるのは、卒業後も変わることなく部を支えてくれるOBたちのおかげです。「これだけのボートや機材で活動できるのは、幸せなことだと思います。乗艇練習の際にはボートで並走しながら、アドバイスや注意を伝えることができますが、昔は自転車で陸上から追いかけて行ったと聞きました。先輩方には、いい試合成績を報告するのが恩返し。日々、まじめにボートに向き合っていくだけです」。
代々のOBが集う「龍水会」の存在は、経済的な面だけでなく、精神的な支えとなって部員たちを見守っています。「年に3回、先輩たちと交流の場があり、身が引き締まる思いです。80歳を超える先輩の話は説得力があり、自分たちはまだまだだと思い知らされます」と徳永さん。人と人が時を超えてつながり合うことができるのは、長い歴史を有するボート部ならではの大きな魅力に違いありません。

目を閉じてもクルーの動きはわかる

image_03.jpg 下江津湖の熊本大学艇庫に部員たちが集まるのは、早朝5:00。春夏秋冬、平日は毎日5:00から朝練が始まります。「週6日は早朝練習をやっていますので、ボート部は熊大の中で、最もキツイ部活の一つなんですよ」と苦笑する徳永さん。いつから始まったかは定かではありませんが、朝練はボート部に受け継がれた伝統の一つです。早朝に設定された時間帯には、学生としての本分を果たすこと、収入を得ながら社会経験を積むためにも責任を持ってアルバイトに勤めること。そして部活に真摯に向き合えるようにという先輩たちの思いが込められています。
「正直に言えば入部当初はつらいと感じましたが、だからといって辞めようと思ったことはありません。冬場は寒い上に、夜明け前で周囲は真っ暗で何にも見えません。だけど乗艇して漕ぎだせば、クルーの動きや状況は“呼吸”でわかるんですよ。声を掛ける必要もないんです」と、徳永さんは意にも介しません。暗闇の中で互いに相手の呼吸に合わせてオールを動かし、スピードや周囲の状況を肌で感じて進んでいけるということは、お互いに理解し合い、揺るぎない信頼関係があるということ。「漕ぎだす前に他のクルーと目を合わせるのは最初の数カ月だけ。後は目をつぶっていても、クルーのことがわかるようになるんです。暗くても困ることは何もないんですよ。それがとても気持ちいい。部活にボートを選んでよかったなと思う瞬間ですね」。
前へ、前へとお互いの“呼吸”を読んで進んで行くボートの魅力。それは連綿と続く先輩たちとのつながりと同じように、人と人をつなぐことに他なりません。

“三つの柱”で戦うボートの魅力

image_04.jpg ボート競技は、ボートの種類や漕手の人数、舵手(コックス)の有無、漕手が持つオールの数などによりさまざまな種目に分かれます。ボートの花形といえば8人の漕手とコックスが乗る「エイト」。ボート競技の中では最大の人数で、最もスピードが出る種目です。ボート競技は、漕手とコックス、そしてマネージャーが三つの柱となって戦う“和”のスポーツ。漕手だけでは成り立ちません。
法学部3年・西田 光さんは、漕手として入部した後に体を壊してしまい、漕手を断念。以来マネージャーとして部を支えてきました。「高校の先輩に誘われて入部しましたが、ボートを漕げなくなっても辞めようとは思いませんでしたね。練習時には並走しながらアドバイスをしたり、動画撮影をして、フォームの改善に役立てています。合宿では食事を作ったりしますよ。みんなが『おいしい!』って言ってくれる瞬間や、試合に勝ったときの笑顔を見ると、一緒にがんばってきてよかったと思うんです」。
「試合で目指すタイムは、2,000mレースで7分前後。その数分のために私たちは、毎日2時間漕いでいるんです。見た目で息が合っているように見えても、水を重く感じたり、スピードが伸びないなど、思うように進まないことがありますね。ボートは努力に正直なスポーツ。運でどうにかなるスポーツじゃないんです。だからこそ、やりがいもありますよ」と徳永さん。
部が一番の目標とする大会は、8月に行われる「全日本大学選手権大会」(通称:インカレ)です。2013年度は、男子・女子ダブルスカル、男子舵手なしペア(*)ともに準決勝敗退を喫し、強豪校との力の差を目に焼き付けた部員たち。会場となる戸田オリンピックボートコース(埼玉県)を疾走する2014年の夏に向けて、熊大ボート部の挑戦は続きます。

※舵手なしペア・・・2名の選手のみで、それぞれ1本のスイープオールを用いて競技距離2000mのタイムを競う

(2014年2月27日掲載)

お問い合わせ
マーケティング推進部 広報戦略ユニット
096-342-3122