400年前の国産ワイン醸造の詳細が明らかにー永青文庫史料の研究調査により薬用アヘンの製造も確認

熊本大学永青文庫研究センター*の後藤典子 特別研究員と稲葉継陽センター長らは、永青文庫資料等による史料研究により、江戸時代初期の鎖国完成直前にあたる期間において、小倉藩細川家の当主 細川忠利がワインを製造させていただけでなく、アヘンの製造も試みていたことを明らかにしました。
これまで日本国内で国産のワイン醸造が本格的に始まるのは開国後、1870年代に入ってからと考えられてきましたが、細川忠利が1627年に「ぶだうしゆ(葡萄酒)」を製造させていたことが同研究者らの研究によって明らかになり、平成28年11月に報道されました。しかしながら、それがブドウを主成分に漬けた果実酒なのか、アルコール発酵させた醸造酒なのか、また目的や製造期間等は明らかではありませんでした。
今回、後藤研究員は永青文庫資料を中心に葡萄酒に関する資料を詳細に調査し、製造された葡萄酒がアルコール発酵されたワインであること、また同時期にアヘンが製造されていたことを明らかにしました。ワインは薬用や贈答用、アヘンは薬用として用いられたものと考えられます。江戸幕府による鎖国政策が進められる一方で、舶来物が重用され、細川家が幕府に配慮しながらも積極的に輸入や製造に関わっていた様子がうかがえます。
本研究成果は、永青文庫研究センター発行の紀要「永青文庫研究」創刊号(平成30年3月発行)に掲載されました。

【出典情報】
タイトル:小倉藩細川家の葡萄酒造りとその背景
著者:後藤典子
掲載誌:「永青文庫研究」創刊号(発行:平成30年3月)

* 永青文庫研究センター
熊本大学附属図書館では、「永青文庫細川家資料」(約58,000点)や細川家の筆頭家老の文書「松井家文書」(約37,000点)の他、家臣家や庄屋層の文書群計10万点あまりが寄託・所蔵されており、永青文庫研究センターではこれらの資料群について調査分析を行っています。

【詳細】
プレスリリース本文 (PDF52KB)

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熊本大学永青文庫研究センター
担当:(センター長)稲葉 継陽
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