世界初! ゴキブリに種子を散布してもらう植物を発見

秋や冬にヒヨドリが赤い木の実を食べているのをみかけたことはありませんか。植物のなかには鳥類や哺乳類といった脊椎動物に食物(果肉)を提供する見返りに、種子を散布してもらう種がたくさん知られています。一方、昆虫が種子散布の役割を担うことは、種子そのものをアリ類に運ばせる様式を除けば、きわめて稀です。今回、熊本大学大学院先端科学研究部の杉浦直人准教授と大学院生の上原康弘さん(博士前期課程2年)は「ギンリョウソウ *1 というツツジ科の植物が、モリチャバネゴキブリ *2 (以下、モリチャバネ)に果肉を提供するのと引き換えに種子を散布してもらうという“ウィンウィンの関係”(相利共生関係)」を発見しました。
ゴキブリによって種子が散布される植物は、今回の報告が世界で初めてとなります。また、種子散布者が“飛翔できる”昆虫の種であるという点においても、本件は世界初の事例となります。
本研究の成果は、平成29年7月27日(木)の日本時間08:01(英国夏時間 同日00:01)にロンドン・リンネ協会の植物学雑誌「Botanical Journal of the Linnean Society」に掲載されました。

*1 ギンリョウソウ: 光合成をおこなわず、ベニタケ科の菌類から供給される栄養に完全に依存して暮らす「菌従属栄養植物」。葉緑素を欠いているため、地上部に現れる植物体の大部分が白色をしている。

*2 モリチャバネゴキブリ: その名がしめすとおり、家屋の中ではなく「森にすむゴキブリ」。落ち葉の下などに生息。成虫の体長は11~14㎜。

【雑誌名】
Botanical Journal of the Linnean Society

【論文名】
Cockroach-mediated seed dispersal in Monotropastrum humile  (Ericaceae): a new mutualistic mechanism

【著者名】
Yasuhiro Uehara and Naoto Sugiura

【DOI】
10.1093/botlinnean/box043

【詳細】
プレスリリース本文
(PDF 507KB)

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熊本大学大学院先端科学研究部
担当:准教授 杉浦 直人
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e-mail:sugiura※kumamoto-u.ac.jp
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