水素ガス・酸素ガスで色と蛍光を制御する分子技術の開発に成功-水素・酸素ガス検知センサーや有機電子材料開発への応用に期待-

熊本大学大学院先端科学研究部の石川勇人准教授、松田真生准教授らの研究グループは、クリーンなエネルギーとして注目されている水素ガス(H 2 )および酸素ガス(O 2 )と反応すると、色と蛍光が変化する分子の開発に世界で初めて成功しました。この反応による副産物は水(H 2 O)だけです。また、可逆的反応なので、繰り返し発光と消光のスイッチを切り替えることが可能です。この分子技術の将来的な用途は幅広く、水素・酸素ガスの検知センサーとしてだけでなく、水素・酸素ガスをエネルギーとする酸化ー還元反応を利用した有機半導体や有機EL素子の特性制御への応用も期待されます。

今回開発した分子の応用例として、例えば、不活化ガスで満たした食品のパッケージ内に今回開発した分子の吸着シートを入れておけば、ブラックライト照射下で、パッケージを開けることなく食品の腐食を促進する酸素がパッケージ内に入っていないかどうか判断することができる可能性があります。
また、ガスエネルギーを利用した有機蛍光材料、有機半導体、有機EL素子の特性制御などに利用されることも期待できます。今回発明した分子技術は、これまで、上記の有機材料で利用されていた電気エネルギーや、光エネルギーに加えて、ガスエネルギーの新たな利用法を拓く革新的発見と位置付けられます。

本研究成果は文部科学省科学研究費補助金の支援を受けてドイツWiley社が発刊している 「Angewandte Chemie International Edition」オンライン版 で2016年5月4日(水) に公開されました。
本研究は熊本大学、山口大学、大阪大学との共同で行ったものです。

【論文名】
Redox Switching of Orthoquinone-Containing Aromatic Compounds with Hydrogen and Oxygen Gas

【論文著者】(*は責任著者)
Kazuki Urakawa, Michinori Sumimoto, Mitsuhiro Arisawa, Masaki Matsuda*, Hayato Ishikawa*

【掲載雑誌】
Angewandte Chemie International Edition(DOI:10.1002/anie.201601906)

【詳細】 プレスリリース本文 (PDF 501KB)

お問い合わせ
熊本大学大学院先端科学研究部
担当:准教授 石川勇人(いしかわはやと)
TEL:096-342-3397
e-mail:ishikawa※sci.kumamoto-u.ac.jp
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