日本発・高強度マグネシウム合金の強度の鍵、長周期積層秩序構造の形成機構解明に成功!~材料開発指針への寄与による実用化の加速に期待~

日本発・高強度マグネシウム合金の強度の鍵、
長周期積層秩序構造の形成機構解明に成功!

~材料開発指針への寄与による実用化の加速に期待~

京都大学と熊本大学は、大阪大学と名古屋大学と共同で、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の放射光科学研究施設(PF)と高輝度光科学研究センター(JASRI)の大型放射光施設(Spring-8)を用いて、世界最強の KUMADAI マグネシウム合金の強化相である長周期積層秩序構造(LPSO構造)の形成機構を世界に先駆けて解明しました。
日本で開発された KUMADAI マグネシウム合金は、Mg-Zn-Y系の合金であり、世界最強の機械的特性を持つことから、次世代の超軽量高強度材料として航空機、自動車、高速鉄道車両、生体材料などへの応用が期待されています。この日本で開発された新合金は長周期積層秩序構造という新奇で複雑な原子配列構造を持つことによって優れた機械的特性が発現しますが、その複雑構造がどのように形成されるのかは不明あり、世界中の研究者が最新の計算科学や構造解析技術を駆使して、その形成機構の解明に取組んでいます。
今回、共同研究グループは、特殊な方法で強い非平衡状態の試料を作り、放射光の強力なX線による原子レベル~ナノスケールレベルでの相変態過程を同時実時間観察した結果、最初にLPSO構造内部のYとZnのクラスターが形成し、そのクラスターが自発的に規則配列することを明らかにしました。この2段階の相変態を経る構造形成過程は新たしい発見であり、材料科学分野に新しい材料設計の指導指針を与えるものです。
本研究成果は、2015年9月21日(月)午前10時(ロンドン時間)に、オンライン科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。(URL: http://www.nature.com/articles/srep14186

【論文タイトルと著者】
‘Nanoclusters first: a hierarchical phase transformation in a novel Mg alloy’、H.Okuda,M.Yamasaki, Y.Kawamura, M.Tabuchi and  H.Kimizuka
Scientific Reports | 5:14186 | DOI: 10.1038/srep14186

【詳細】 プレスリリース本文 (PDF 398KB)

お問い合わせ
【材料に関すること】
熊本大学先進マグネシウム国際研究センター 教授/センター長
河村 能人(かわむら よしひと)
TEL/FAX:096-342-3717
E-mail:rivervil※gpo.kumamoto-u.ac.jp

【放射光計測・解析に関すること】
奥田 浩司(おくだ ひろし)
京都大学大学院工学研究科材料工学専攻 准教授
TEL:075-753-5193  E-mail:okuda.hiroshi.5a※kyoto-u.ac.jp
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