DNA上にナノサイズの「スイッチ」 熊大グループ、バイオテクノロジー新基盤技術を確立!

熊本大学大学院自然科学研究科の 井原 敏博教授、北村 裕介助教らの研究グループは、金属イオンを繋ぎ手にしてループ状(Ω型)となる人工DNAを独自に作成し、これにより今回、金属イオンを引き金にターゲットDNAの配列を編集し、好きなタイミングで機能をON・OFFと切り替えるスイッチを作製することに世界ではじめて成功しました。

本技術は従来の核酸塩基配列編集と違い、DNAを切ったり貼ったりせず、「近づける・遠ざける」だけでその機能を調節できるため、簡単に機能のスイッチングができるようになりました。また、DNAを切ってしまうことが無いので、すぐに再度もとの状態に戻すことができることも大きな利点です。
さらにこの技術は、人工DNAが一時的に「Ω」の形をつくることさえできれば金属イオンに限らずその他の様々な刺激を反応の引き金として利用することが可能で、「Ω型人工DNAを用いたターゲットDNA、およびRNAの制御」という新たなバイオテクノロジーの基盤となるものです。今後は、DNAの構造制御、遺伝子診断、遺伝子治療、および遺伝子機能の制御などへ応用・展開が期待されます。
本研究成果は、ネイチャー・パブリッシング・グループが発刊しているNature Communications誌にロンドン時間の平成27年4月7日午前10時【情報解禁:日本時間 平成27年4月7日午後6時】にWeb 上で公開されました。
(URL:http://www.nature.com/ncomms/2015/150407/ncomms7640/full/ncomms7640.html)
なお、本誌のImpact Factor(雑誌掲載が学術分野に与えるインパクトの指数)は、総合科学分野で世界第3位の「10.7(2014年時点)」です。

論文タイトル:Metal ion-directed dynamic splicing of DNA through global conformational change by intramolecular complexation (DOI: 10.1038/ncomms7640)
※本研究は、主に科学技術振興機構(JST)・戦略的創造研究推進事業(CREST)、および文部科学省・科学研究費助成事業による研究費の支援を得て実施されたものです。

詳細: プレスリリース本文 (PDF 1.2MB)

お問い合わせ
大学院自然科学研究科
担当:教授 井原敏博
電話:096-342-3873
e-mail:toshi※chem.kumamoto-u.ac.jp
(迷惑メール対策のため@を※に置き換えております)