現在位置: ホーム 研究 研究室探訪 安東由喜雄研究室(大学院生命科学研究部医学系)

安東由喜雄研究室(大学院生命科学研究部医学系)

Lab’s data【安東研究室データ】

  • 研究テーマ
    • 家族性アミロイドポリニューロパチーの病態解析と治療法開発
    • 脳卒中の急性期および慢性期の治療法開発
    • CADASIL などの遺伝性脳卒中の病態解明
    • 筋ジストロフィーや筋萎縮性側索硬化症の遺伝子・再生治療
    • 多発性筋炎・皮膚筋炎などの臨床解析

 

  • メンバー
    教授1人、特任教授3人、准教授1人、講師1人、診療講師1人、助教9人(特任助教7人を含む)、医員12人、大学院生22人、研究補助員2人

生まれたことを、誇りに思えるように。
遺伝性難病に挑み続ける「チーム安東」

熊本から世界へ研究を発信

 神経内科学分野の研究の柱は、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)という遺伝性の神経疾患です。血中にあるたんぱく質の遺伝子がたった一カ所変異することで異常なたんぱく質であるアミロイドが産生され、神経、内臓、目などに蓄積。感覚・運動障害、内臓疾患を引き起こし、治療法がなかった頃は死に至っていた難病です。
 病原たんぱく質のほとんどを作り出すのが肝臓のため、脳死肝移植、部分生体肝移植という治療法が生まれましたが、「ドナー不足もあり、外科的な治療には限界がありました。移植手術のあと何日も苦しみ、ようやくFAPの進行が抑えられる。それではいかんのです」と安東教授。
 そこで、発症後すぐに投与し症状を抑える薬剤、また、遺伝子の発現を抑える治療法、さらには、アミロイドに対する抗体治療という一連の治療研究を活発に行っているのが安東研究室です。FAPの研究と治療法開発を、熊本から世界に発信し続けています。
 アミロイドの蓄積が原因の疾患はアルツハイマーを含めさまざまあり、安東教授は研究者が集う世界アミロイドーシス学会の理事長も務めています。「人類はやがてガンや生活習慣病を克服するが、最後に残るのはアミロイドーシスだとする論文もあります。この研究は次世代の研究だと言えます」。

一歩でも先に進めるそんな気持ちで挑戦を

 アミロイドーシスはQOL(生活の質)を著しく下げる神経疾患です。苦しむ患者の姿を見続けてきた安東教授は、「本当につらい病気なんです」。
 この病気に挑み続ける源は、医師となって3年目に出会ったFAP患者からの「自分は仕方ないけれど、私の子どもの時代には何と2016年9月米プロセナ社(アイルランドが本社のバイオテクノロジー会社)の訪問。共同研究について協議かしてほしい」という言葉です。「本来、親の
遺伝子を受け継ぐことは誇らしいこと。しかしFAPの患者さんは、親は自分のせいだと感じ、子どもは親を愛しながらも複雑な気持ちを持ち続ける。お母さんの子どもでよかった、とお子さんが思えるように。それが、私たちが遺伝性疾患を研究し続ける意義です」。
 「良水は深く掘るべし、という世阿弥の言葉があります。少し掘っただけでは、うまい水は飲めない。研究もそうです。研究室に入ってくる人には目標を持ってほしい。たとえ大きくなくても、目標をもって、この病気に興味を持ち一歩でも前に進めてくれたら、と思います」。
 そして、ここで過ごした暁には「学位の重みを持って生きろと話します」。
 研究を積み重ねて得た発想力、知識、友情、人間力。それが「学位の重み」だと安東教授。総勢60人が白衣で勢揃いする光景には迫力すら感じます。笑顔の向うに、難病に立ち向かう決意が見えました。

Interview

大学院医学教育部博士課程
(医学専攻)2年
野村 隼也さん(左)
大学院医学教育部博士課程
(医学専攻)4 年
津田 幸元さん(右)
 問診と診察である程度原因が突き止められる神経内科に学部時代から興味がありました。子どもから高齢の方まで幅広い患者さんがおられ、時間をかけて学ぶ分野だと考えています。明治大学出身で、九州に戻る時に熊本大学医学部を見学させていただき、安東教授をはじめ熱意ある先生方がたくさんおられたことがここに来た理由です。現在は、FAPによる、アミロイド沈着が原因の血管障害を研究しています。安東研究室は、縦も横もつながりが深くて相談もしやすく、温かい雰囲気。大勢が参加するイベントも多くて楽しいですよ。  FAPの線虫モデルをつくる研究を行っています。遺伝子変異を起こし体の中に異常なたんぱく質が産生される線虫はできていますが、実際にアミロイドが線虫にたまっていることを証明することが難しい。今後はその証明とともに、すでに並行して始めている線虫モデルを使った治療実験も進めていきます。研究を論文にして修了することはもちろんですが、やはり遺伝疾患を持つ子どもさんに良い将来を進んでもらいたいという思い、そして安東教授をはじめ指導してくださる先生方の恩に報いるという気持ちも大きなモチベ―ションになっています。

密着!安東研究室

2016年9月米プロセナ社(アイルランドが本社のバイオテクノロジー会社)の訪問。共同研究について協議
2016年12月の神経内科忘年会での大学院生の出し物「パーフェクトヒューマン」

(熊大通信65号 (2017 SUMMER)7月発行)

 

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