国際シンポジウム「近代日本の地域劇場が果たした役割」

event_available 日時: 2018年3月13日 15時30分 から 21時0分 まで

一般
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ポスター
(PDF 88KB)

教育学部では一昨年より、音楽科・山崎浩隆先生代表の科研B(「熊本県山鹿市の“歌舞伎式”劇場八千代座に関する総合的研究」)として、オペラ史/音楽学の山田高誌、作曲家の國枝春恵、社会科日本史の春田直紀、日本音楽史・塚原康子(東京芸術大学)、日本音楽史・奥中康人(静岡文化芸術大学)、日本美術史・水野裕史(筑波大学)が、山鹿市の国指定重要文化財の劇場、八千代座の史料について調査研究を推進しております。

このたび、その研究成果を、在ローマ国際交流基金・日本文化会館にてシンポジウムという形で開催し、イタリアで歌舞伎の第一人者、ヴェネツィア大学“カ・フォスカリ”日本学科より、ボナヴェントゥーラ・ルペルティ先生を基調講演に招聘しながら、国際的な演劇学、劇場史の見地から山鹿の劇場史料や近代の日本の“地方”の文化の在り方を位置付けてもらい、さらにラウンドテーブルにおいては熊本大学グループによる史料再評価の取り組みの方向性について各方面から論じて頂く予定です。

おそらくイタリアにおいては初めての熊本文化紹介になりますとともに、海外での日本文化紹介は、従来、お能、歌舞伎、と「固まった芸術」が中心で、特に明治以降の折衷的、“ごった煮的”な状況がこのような学術的な形でまとまって紹介されることも、おそらく初めてのことと思われます。遠方で直前ではありますが、英語の催しでもありませんので情報がなかなか伝わりにくいという事情も鑑み、イタリアイベント担当の山田より代わりまして皆様にご案内をさせていただくことと致しました。

実施にあたり、熊本大学、熊本県、山鹿市、熊本市教育委員会より後援を頂きましたほか、前山鹿市文化課課長の木村理郎氏と劇場組合の方にはローマまで同行いただき、魅力ある熊本の文化を知って頂くきっかけとしております。皆様におかれましても、直前のイベントではありますが、ご関心のある方にご周知をいただけましたら幸いです。


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場所:ローマ 日本文化会館 2階ホール
日時:2018年3月13日(火)15:30~21:00
www.jfroma.it/(日本語)
http://www.jfroma.it/funzionamento_del_teatro_locale/(イタリア語)

テーマ:
近代日本の地方劇場が果たした役割
――明治44年設立、国指定重要文化財・八千代座(熊本県)を中心に――

2016年の日伊修好150周年に続き、2017年には明治新政府設立150年を迎え、日本とイタリアでは様々なイベントが企画され両国の友好の歩みが総括されてまいりました。本シンポジウムは、明治時代に建設された江戸様式の熊本の劇場を切り口に、近代日本の文化の様々な諸相を明らかにするものです。

具体的には、これまで紹介されることの少なかった日本の“地方”における劇場活動の代表例として、明治44年設立、現在も活用されている国指定重要文化財・八千代座(熊本県山鹿市)の活動、演目の実態、そして劇場史料を紹介します。その中で、近代国家づくりにおいて不可欠とされた“西洋音楽”と、いまだ人々の間に息づく江戸以前の趣味がどのように共存しながら変容し、そこで劇場が社会にどのような役割を果たしていたのか考えます。そしてまた、私たちの劇場保存(再建)活動と劇場史編纂の取り組みは、イタリア各地で蓄積されている劇場史料編纂活動とおそらくは共通するものであろうと考え、ヴェネツィア大学のルペルティ先生による基調講演とともに、ラウンドテーブル「劇場の記憶、記述が果たす役割」を行います。

◆Saluti: 1530-15:15    開会の挨拶
・竹下潤 副館長 挨拶
・山崎浩隆―山田高誌  趣旨説明

◆Session 1: 15:40-16:50   近代日本と熊本 (司会:山田高誌)
・山田高誌(熊本大学)    「熊本という街:歴史、八千代座、地震」
・山崎浩隆(熊本大学)     「近代日本における学校、劇場:分断された音楽文化」
・森みゆき(尚絅大学)     「熊本と西洋音楽の出会い」

◆Session 2: 17:00-18:50  八千代座:演目、空間、保存 (司会:山田高誌)
・宮本圭造 (法政大学能楽研究所) 「日本の劇場空間の変遷:能、歌舞伎、そして近代的劇場:
・塚原康子(東京芸術大学)     「八千代座での演目について:ジャンル再考」
・木村理郎(山鹿文化協会)     「街づくりとしての八千代座の保存と再建:行政の立場から」
・春田直紀(熊本大学)          「八千代座に残された歴史の痕跡―様々な劇場史料を集成するー」

◆Session 3: 19:00-20:20  基調講演とラウンドテーブル
・西林館長 挨拶
・基調講演     ボナヴェントゥーラ・ルペルティBonaventura Ruperti(ヴェネツィア大学 カ・フォスカリ)

「イタリアにおける日本の劇場研究の現状と課題」
・ラウンドテーブル 「劇場の記憶、記述が果たす役割」
・演奏       国枝春恵 作曲・演奏「山鹿灯籠踊り ピアノためのパッサカリア  -民謡<よへほ節>による」

‘Passacaglia for Piano Solo ‘ from the Folksong ‘Yo-He-Ho’ in Yamaga Lantern Dance Festival”」(新作世界初演)

◆交流会: 21:00-22:00  熊本の地酒試飲 Degustazione di sapori di Kumamoto

場所 国際交流基金ローマ日本文化会館(イタリア)
日時等 平成30年3月13日(火) 15:30~21:00
入場無料
詳細 ポスター (PDF 222KB)をご覧ください。

※山﨑先生の「崎」のつくりは、正しくは「大」ではなく「立」です。環境によって正しく表示されないため、「崎」を使用しています。

お問い合わせ
教育学部音楽科 山崎
096-342-2684