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WEBマガジン「KUMADAI NOW」勝敗や順位のないリズム体操で、 子どもたちを健やかに

競技のないスポーツの世界に魅了

健児くん(以下:◆):先生は授業の中に、リズム体操を取り入れておられますね。リズム体操ってどんなスポーツなんですか?
坂下:高校までは新体操をやっていて、大学時代にリズム体操に出合いました。リズム体操とは、リズムや動きを重視し、内面的な感覚や心と動きの統一を目指す体操のことで、勝ち負けや順位を競うことはありません。新体操をやっていた頃は競技に勝つために練習をしたり、努力したりしていたんですが、リズム体操を通じて「自分の動きが少しでもよくなるように」と日々自分に向き合うようになったんです。やがて自分自身が少しずつうまくなり、変わっていく喜びを知り、「こんな世界があったんだ!」と感動しました。
 そこで、リズム体操の世界を実際に体験してみたいと、4年に1度ヨーロッパで開催される世界体操祭「ワールド・ジムナストラーダ」に出場するために、筑波大学大学院に進学。念願叶って大会に出場し、幅広い年齢層の方々が自由に楽しく笑顔で踊っている姿を目の当たりにしました。中でも高齢者の方が喜びに満ちてダンスや体操をしている姿は、心豊かな人生を象徴しているようで、「今まで思っていた競技としてのスポーツではなく、自由に楽しく行うスポーツの世界をもっと勉強したい」と思い、保健体育科教育に携わることを決意しました。以来、熊大で約30年、ダンスや表現運動・リズム体操を通して運動と心の関係を深く学び、小・中学校教員を目指す学生たちと共に実践しています。

子どもたちの意欲を引き出す学校教育を

◆:先生が目指す小・中学校の授業とはどのようなものですか?
坂下:専門は、体操やダンスの実技指導と保健体育科教育の理論と実践です。その中で、子どもたちが主体的に動くような授業づくりを目指しています。先日、小学校教員を目指す学生たちの授業で、タオルを使った表現運動を行いました。柔軟運動や遊びを取り入れながら、最後には「タオルのお洗濯をしよう!」というテーマで自由に表現を楽しみました。体がほぐれてくると、学生たちに笑顔が浮かんできます。心と体は一体、学生の笑顔を見ると私まで嬉しくなってきますよ。表現運動に正解はありませんし、もちろん勝ち負けを競うものでもありません。小学生に1から10まで教えてしまうと、次に発展しなくなってしまいます。しかし、「正解はないんだよ」「考えたり工夫してみよう」と投げ掛けると、やがて子どもたちの表情が生き生きと変わって、楽しむようになる。すると次の展開を自分たちで考えて、主体的に発展させていくんですよ。「やってみたい!」という子どもたちの意欲を引き出すような授業を学生たちに伝えていきたいですね。
◆:学外で実習なども行っているそうですね。
坂下:ある学生の卒業論文をきっかけに幼児教育にも目を向け、宮崎県延岡市にある「杉の子保育園」を訪れたのですが、子どもたちの元気な姿に圧倒されました。裸足で走り回り、先生が何も教えなくても、鉄棒や雲梯などで自分たちでいろんな技や遊び方を見つけていきます。まだ小さい子は、お兄ちゃんやお姉ちゃんがやっていることを見て覚えたり、自身の能力に挑戦していく。体を動かすことの楽しさを体感した子どもは、自分たちで遊びを発展させることができるんです。

子どもたちが持つ本来の力を伸ばそう

◆:先生は福島・会津のご出身だそうですね。
坂下:未曾有の被害をもたらした東日本大震災の後、地元福島の相馬高校の生徒が作ったビデオを見る機会がありました。彼らの内面からあふれるような言葉の数々に、震災にも負けず前へ進もうとする若者の持つ力を再認識しました。若い人はつらいことがあっても正面から向き合い、悩んだり考えたりして修復していく力を持っています。彼らが日本を担う時代には、何かが変わるのではないかと思うほど、若い力に可能性を見出した思いがしました。
 今の子どもたちはネットやゲームで人とのつながりが薄れ、運動能力が低いとかみんなと遊べないと言われてます。しかし、周りの大人が環境を整えてあげると、子どもたちは自ら人と人とのつながりを育む能力をどんどん伸ばしていけるんです。そんな子どもたちが本来持っている力を伸ばすことを念頭に置いて、保健体育教育に取り組むことが大切ですね。
◆:先生ご自身、今もリズム体操やダンスを続けておられると聞きました。
坂下:そうですね。学生やOGと一緒にダンス発表会などにも参加しているんですよ。学生がダンスを創作し、よりよいものに仕上げるために話し合いを繰り返し、工夫して作り上げていきますので、学生たちにとってはコミュニケーションを深めるいい機会にもなります。OGたちも子連れで練習に通ってくれ、みんな少しでもうまく踊れるようになりたいという一心なんです。忙しい合間を縫って集まってくれることが、本当に嬉しいですね。学生に比べると上達は緩やかかもしれませんが、それこそ生涯スポーツ。ストレッチをしたり、自分が心地いいと感じる動きを少しずつでも続けることが、心とからだの健康づくりにも役立ちますので、みなさんにもおすすめしますよ。

 
(2015年3月31日掲載)
 
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