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WEBマガジン「KUMADAI NOW」血液のがんについて、未来に残る研究を世界へ発信したい!

白血病発症の仕組みを解き明かす

健児くん(以下:◆):先生はどんな研究をされているんですか?
指田:がんがどのようにできるか、そして、どのように進行していくのか、マウスを使ってその仕組みを調べています。中でも白血病など、血液細胞の中の白血球ががん化したものについて研究しています。がん化の原因の一つは遺伝子の中にある転写因子の働きが異常になることです。その異常がどのように起きているのか、実際の白血病の患者さんの細胞で見つかる変異転写因子をマウスの造血細胞に発現させ、観察していくのです。発現させた異常ががん化に関連するものであれば、マウスは白血病になります。この過程を明らかにすることで、ヒトのがん化のモデルを作ることができるんです。がん化の仕組みを明らかにすることは、最終的には白血病の治療法に結びつく可能性につながります。実際の治療法開発は、その後の研究(トランスレーショナル・リサーチ)や製薬会社の研究に引き継がれます。
つまり、病気になる過程を理解し、解き明かしましょう、という、いわゆる基礎研究が、私たちがやっている研究なんです。

「仮説を立て、実験して、証明する」という流れの面白さ

◆: 研究をはじめられたきっかけはなんですか?
指田:もともと、血液内科医で、白血病など血液細胞の病気の臨床医だったんです。病院で外来患者さんや入院患者さんを診ながら、研究をしていたのですが、アメリカへの留学の機会があり、血液細胞やがんの基礎研究のために5年間をアメリカで過ごしました。実は、父親がアメリカに留学したことがあり、小さい頃に一緒に一年ほど行っていたので、アメリカに行ってみたい、と漠然と思っていました。それに、臨床ではなかなかできない基礎研究をしっかりとやってみたいと思ったんです。ニューヨークとオハイオで研究に携わった後、日本に戻ってくるとき、臨床より基礎研究の方が面白いと思い、研究を続けることにしたんです。
 研究は、まず、勉強するところから始まります。論文を読み、それについて考え、みんなで意見をもちよって議論するんです。それによって整理されていく。この繰り返しです。この後で、仮説を立て、実験していきます。その結果を考察し、次のアイデアや仮説を立てていく。日々、この繰り返しです。基礎研究の面白さは、この最初は0だったところから論理的に考え、仮説を組み立て、実験して、最終的に論文や学会などで発表する、という流れにあると思います。世界が相手なので、世界中の人達を前に、発表ができる、というやりがいですね。また、新しい生物現象を証明したときの達成感も、研究の魅力です。
 臨床医だったという経験は、実感に基づくアイデアなどにつながっていると思います。この分野は理学部や薬学部から来る人も多いのですが、医学部を出ているということのメリットは非常に大きいです。ですので、医学部の方にも、臨床医ではなく基礎研究者に進むという道もあることを考えてもらえると嬉しいですね。
◆先生が所属されている「国際先端医学研究機構(IRCMS)」とはどんな組織なんですか?
 2015年4月に発足した組織で、生命科学分野の国際的な研究拠点を目指している研究組織です。私は第一号として招聘されました。実は、国内で基礎研究に専念できるところが少ないんです。世界に目を向けても、日本は研究環境が整っていないと思います。その中ではIRCMSはかなり環境がよかったので、行ってみようと思いました。
 海外の研究室では、いろいろな国の人と一緒に研究を行います。私はアメリカの研究室にいましたが、アメリカ人が一番少なかったんです。世界中の人に留学したいと思わせる魅力があり、意欲のある人たちが集まってきている、ということです。このIRCMSも、日本にとってのそんな拠点になるといいなと思っています。

積極的に発言し、成果を世界へ!

◆学生の皆さんへ一言
指田:日本人は意見を言わないな、という印象が強いですね。海外だとそれでは相手にされません。そこは変えていくべきだと思います。積極的に発言し、質問するようにしたほうがよいと思います。同じアジアでも中国や韓国の人はどこにいっても発言し、質問している。そういう点は見習ったらいいと思いますね。
 積極的に発言し、自分の仕事を世界の人たちに知らしめるのも必要なことです。真面目にコツコツ研究することはとても大事なのですが、みんなにわかってもらわないと意味がありません。自分がやっていることなので、自分の研究が面白いのは当たり前なんです。その上でなにができるか、社会にどう貢献できるか、ということも考えていかなければなりません。そのためにも、知ってもらうことは重要なんです。
◆今後は、どのような研究をされたいと思っていらっしゃいますか?
指田: 白血病の研究で「残る仕事」をしていきたいと思っています。この世界、100年先に残る仕事というのはほとんどありません。DNAの二重らせん構造の提唱も60年前くらいのものです。まずは、5年、10年先に役立つような研究がしていきたいです。 それから、自然科学や血液学の教科書に載るような研究ができたらいいなと思います。ネイチャーやサイエンスに載るような仕事でも、教科書に載るようなものは少ないです。10年後、20年後の学生にも見てもらえるような研究をしていきたいですね。


(2016年3月25日掲載)
 
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