現在位置: ホーム 大学情報 広報 広報誌 WEBマガジン「KUMADAI NOW(熊大なう。)」 熊大ラボ ~knock on the laboratory's door~ WEBマガジン「KUMADAI NOW」会話の中から、日本語の本質が見える

WEBマガジン「KUMADAI NOW」会話の中から、日本語の本質が見える

エリアも時代も分野も超えて言葉の本質を学ぶ

健児くん(以下:◆):超域言語文学コースとは、どんな学問分野なんですか?
福澤:分野もエリア、時代も超えて、言語や文学を研究し学んでいこうというコースです。単一の言語や文学ではなく、複数のものを比較しながら、その本質を捉えていこうとしています。その中で、私は、日本語と韓国語など、言語対照研究を行っているところです。いろいろな言語を取り扱いますが、ベースになっているのは日本語です。
◆:先生が、言語学の研究を始められたきっかけは?
福澤:大学のとき学んだ先生の影響が一つ。そして、大学院生のとき、チューターで留学生を教える機会が多く、言語の多様性を身近に感じたことが一つです。
 いろいろな国の言葉を聞いていると、言葉の並び方や読み方などの違いが浮き上がってきます。例えば「日」という漢字。これには「ジツ」「ニチ」「ヒ」「ビ」「カ」などさまざまな読み方があります。これほどに違うのは日本語だけなのですが、それはなぜか。その歴史を紐解くと、中国のそれぞれの時代の読みを受け継いでいてそれを大切にしてきた歴史や、宗教の中で残してきた文化などが見えてきます。それを振り返っていくだけでも面白いですよ。
 こういった気付きは、留学生と話しているときに教えられることが多いんです。韓国や中国の学生が日本語を学ぶとき、どんなところで間違うのかを細かくみていくと、日本語の特徴が浮き彫りになります。そこを突き詰めていくことで、それぞれの言語本質に迫ることができるのではないかと考えています。

ラフカディオ・ハーンの人柄に魅せられて

◆:先生はラフカディオ・ハーンの研究もされていますね。
福澤:実は、私は熊大に来る前、松江にあるハーンの旧居の近くに住んでいたんです。松江から熊大、という流れも同じで、親近感を持ちました。彼は、熊本で数々の業績を残しているんですよね。例えば、第1作の『知られざる日本の面影』(1894)はハーンの熊本滞在中に刊行されたものですし、第2作となる『東の国から』(1895)は、熊本時代に取材・体験したものを中心に書かれています。ハーンは熊本時代に、深く日本を知ったといえるのではないかと思うんです。そこには、公平で開かれた視点があるんです。これがハーンやハーンの作品が人をひきつける秘密だと思っています。
◆:ここ数年は、ハーンや夏目漱石の記念年が重なっていて、イベントなども企画されていますね。
福澤:今年は、ハーンの『東の国から』の発刊120年にあたります。11月19日にこれを記念したシンポジウムを開催し、熊本を舞台にした作品について、熊大文学部の研究者などによるシンポジウムを行いました。多くの愛好者に参加いただき、ハーンへの理解が深まったと思います。国内にはハーン研究者が多く、シンポジウムなども多く開催されています。熊大は、ハーンが生まれたギリシアでも、ハーンとの関わりで紹介されているので、もっと多くの人に関心をもっていただけるといいですね。ハーン関連で、昨年はギリシアに行き、それ以前にはハーンが幼少時代を過ごしたアイルランドにも行ったのですが、いずれも、さまざまな文化を持っていて、それらがハーンを形作っていたのだと感じさせてくれます。ハーンという人を取り巻く国の文化を言葉と一緒に学んでいきたいと思いますね。

今だからこそ感じる作品の魅力を伝えたい

◆これから、どんな研究をやっていかれる予定ですか?
福澤:今、研究しているのは「オノマトペ」です。オノマトペには音を文字に表した「擬声語」と、状態を表す「擬態語」がありますが、特に擬態語について研究しています。擬態語を突き詰めていくことで、それぞれの言語の本質や文化の根源に迫ることができるのではないかと考えています。たとえば、「へとへとに」というときの「に」という接続詞は、結果を表す役割があるのではないか、などがわかってきます。日本語は擬態語が特に多いので、外国の言葉と比較すると、日本語の本質も見えてくるのではないかと思います。
◆学生さんへ一言。
福澤:今の学生たちは、とても真面目で素直だと思います。でも、あまり外に出ていない印象もあります。若い内に海外に行って、さまざまな国を自分の目で見て、匂いをかいでくることで感じる現地のインパクトを感じて欲しいですね。本で読むだけではわからないことが感じられると思います。
 それから、漱石やハーンの作品ももっと読んでもらいたいです。特に彼らの「創作論」や「読書案内」などは彼らの考え方や興味の向かっている方向がわかって面白いと思います。若いからこそ、感じることも多いでしょうし、その思い出をもって、年を経て読み返すと、同じ作品でも違うことに気づいたりして、きっと面白いと思います。今、高校生に出前授業をすることもあるのですが、漱石やハーンは親近感をもって読んでもらえていますよ。身近なものから読んでいって、彼らの哲学にも興味をもってもらえたらいいですね。
 
(2015年12月21日掲載)
 
 
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