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WEBマガジン「KUMADAI NOW」 憲法の中に潜む、歴史と哲学を明らかに

歴史、哲学を感じた憲法研究

健児くん(以下:◆):先生が憲法の研究に携われるようになったきっかけは何ですか?
大日方: 大学2年生までは、憲法や民法、刑法、労働法や訴訟法など、さまざまな法律を勉強するのですが、その中でも「憲法」が面白いと思ったんです。民法や刑法などの法律は、それまであった道徳をカタチにしたものがベースになっていると思うんですが、憲法は少し違います。その中にはそれまでの日本がもっている歴史や、憲法を作った人たちの哲学が潜んでいる。だから、憲法を紐解いていくことはとても深い、と感じたんです。「もっと憲法について勉強したい!」と思った大学3年時の進路選択が、現在の研究者への一歩になりました。
◆:「憲法」って身近なようで、今ひとつ日常生活ではあまり深く考えることがないものですよね?
大日方:「憲法は人権を保障するもの」のように考えている人が多いと思います。憲法を学ぶとき、最初に聞く言葉だからです。でも、憲法を読み解いていくと、それは結果であって、そもそもの憲法の目的は「国家権力を制限するもの」なのではないかと思うんです。これはアメリカの憲法も同じです。国家権力を制限することで、国民の自由が大きくなる。つまり人権が保障される、というわけです。国家をつくり人権を保障するのも憲法なら、国家の権限を制限するのも憲法であるというのが、憲法の「深い」ところではないかと思います。
 憲法はすべての法を正当化するための法です。民法も刑法も憲法の精神を基本にしています。では、憲法の正当性はどこで保障するのだろうか、と考えたことから始めたのが、現代正義論、とくにジョン・ロールズの『正義論』の研究です。ロールズの考え方は日本の憲法にとても適合していると考えています。

苦しかった修士課程。それがあるから今がある

◆:2015年も憲法体系書『憲法I: 総論・統治機構論』を出版されるなどとても精力的に研究されていますよね。
大日方:やはり、研究者の本分は研究だと思っています。特に、私が今年出版した統治論などは難しい分野なので、もう一度しっかりと勉強し直さないといけないと思っているところです。
でも、本当に苦しかったのは大学院の修士課程のときでした。思い出そうと思っても細かいところが思い出せないくらい一生懸命に勉強してました。将来どうなるのかも見えなかったし、論文もどうなるかわからなくて、とにかく不安でしたから。でも、この苦しいときは一生の糧になっていますね。
◆:現在は、どんな研究をされているんですか?
大日方:これまでは、いわゆる憲法の原理論を研究してきたわけですが、現在は、知的財産権、中でも著作権について、憲法理論の視点から研究しています。著作権や表現の自由について、そして、特許について、憲法の視点から考えようというものです。人権問題については判例や研究も多いのですが、この分野はこれから。しかも、これからの時代、重要になってくる分野だと思っています。

今の良さをなくさずに、ひと皮むけた学生に

◆:今の学生に一言。
大日方:みんな優秀だな、と思います。でも、優秀だからこそ、先が見えてしまって、一種の満足感と同時に一種の諦観も持っているようにも思います。今見えている範囲の中でがんばればいい、というか。でも、学生同士の仲がいい、とか、驚くような視点をもっていることがある、とか、ボランティアや海外旅行をやっているとか、いいなあと思う点もたくさんあります。その良さをなくさないようにしながら、ひと皮むいてあげたいですね。1年生のときって学ぶことすべてが新鮮で目がキラキラしてるんですが、そのモチベーションを4年生まで持ち続けて欲しいと思っています。
 また、熊大法学部の学生は、国や地方公共団体に就職する人もたくさんいます。そこで、熊本や九州を背負っていくのは自分たちなんだ、という意識も持てたらいいですね。今、行政の方と一緒にやるプロジェクトもありますので、そういうときに、現実社会での取り組み方などを学んでいけるようにしたいと思っています。
◆:ブログなど、先生独自の情報発信もされていますね。
大日方:ブログやtwitterなどのツールを使って、私の日常などを学生にむけて発信しています。学生にとって、大学の先生って遠い存在だと思うんです。研究者は難しいと思っているというか。なので、あえて研究のことをいわずに、日常生活などを書くことで、「大学の先生も普通の人だな」「大学の先生もいいな」と思ってもらって、熊大法学部生のなかから研究者を目指す人がもっと出てくれたらいいなあ、と思っています。
 
(2015年11月16日掲載)
 
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