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「難病に苦しむ人々を一人でも救いたい」そんな思いを胸に創薬研究に飛び込んだ甲斐広文教授

創薬研究センター長甲斐広文教授

新薬は何万人もの医師に匹敵する

亡くなった大好きな叔母と一緒に。カリフォルニア大学サンフランシスコ校へ同時期に留学し、親交のある京都大学・山中伸弥教授と。
甲斐教授がさまざまな情報や思いを綴る「かいけん730BLOG」

健児くん(以下:◆):難病に関する創薬研究に取り組んだきっかけを教えてください。
甲斐:“難病”とは、現在「完治するための治療法や薬がない」病気のこと。研究のきっかけは、私を子どものように可愛がってくれた叔母が難病を発病し、苦しい闘病生活を目の当たりにしたことでした。徐々に病気が進行していく叔母の姿を見て「病院で治らない病気もあるんだ」と初めて知ったんです。当時は、副作用が強い薬を頼りに闘病するしかなくて、「自分にも何かできることがないか」と薬学の道を選びました。
◆:直接診療できる医師の道ではなく、薬学の道を選んだのはなぜですか?
甲斐:確かに医者になれば実際に患者さんに向き合い、地域の皆さんの病気を治すことができます。しかし、新しい薬を開発すれば、世界中の患者さんの命を救うことができるんです。「新薬は何万人もの医師に匹敵する 」これが創薬研究の最大の醍醐味といえるでしょう。例えば、昔は結核といえば命に関わる病気でしたし、胃潰瘍も外科手術なしでは治療できない病気でした。薬が開発されたことで、命を守り、患者さんの負担もずいぶん軽減されています。
◆:手術の体力的負担や経済的な負担も軽くなり、世界中で喜ばれる。まるで“医療革命”ですね。
甲斐:「創薬は世界の医療を変える」が私のモットー。医療システムさえも変えることができるんです。でも一番大切なのは“予防”。これからの大きなテーマだと考えています。

平成の“エレキテル”誕生!

バイオメトロノーム◆:近年、予防医学が注目を集めていますね。
甲斐:現在、病気を治す新薬の開発だけでなく、新たな視点からの予防と治療的アプローチが求められています。新薬が実用化されたとしても高額な医療費がかかり、経済的な理由で投薬を受けられないケースも生じてしまうのが現状です。まずは「病気にならない」ことが一番重要なのは今も昔も代わりません。医療の在り方が問われる時代ですね。
◆:新たなアプローチとして医療機器を開発なさったと聞きました。
甲斐:平賀源内の「エレキテル」って聞いたことあるでしょう?摩擦によって静電気を起こす機械なのですが、もともとは医療用として病気治療に使われていたんですよ。日本では、古くから温泉の温熱療法や電気療法を伝えてきました。これらを現代の医療技術に生かそうと開発したのが、「バイオメトロノーム」です。
◆:“平成のエレキテル”誕生ですね。
甲斐:42度の温熱と特定条件の微弱電流を利用した医療機器で、「バイオ(bio)=生体」の「メトロノーム(metronome)=リズムを整える」意味で名付けました。最適化された物理的刺激を生体に与えることで、内臓脂肪の減少が顕著に認められ、メタボリックシンドロームの改善に効果的です。“メタボ”はさまざまな疾患の原因になりますので、生活習慣病予防に役立ちますね。また、インシュリン分泌や腎機能の改善なども確認されており、慢性疾患治療への期待が高まっています。熊大医学部附属病院の代謝内科学分野の荒木栄一教授や近藤龍也助教が主体となって臨床試験を展開しています。夢は、「家庭で病気をコントロールしながら、みんなが自分らしく暮らせること」。そのためには創薬と予防医学が並び立たなければならないと考えています。

総合力を持つサイエンティストを育成

平成24年度、“甲斐研”全員集合!◆:先生は熊本大学薬学部=“熊薬”OBですね。学生たちはみんな後輩とあって、思いもひとしおでは?
甲斐: 学生たちにとって“先輩が世界を舞台に活躍する姿”を見ることが、一番の励みになります。「私もがんばれば、同じように活躍できる」という希望を持ってもらえるような“先輩”でありたいですね。“熊薬”の自慢は、学生たちが皆挨拶をしてくれること。先生にも外部の人にも「こんにちは」って声を掛けてくれる。当たり前のようで、難しいことです。そして、6~9年研究を共にするので、家族のような深いつながりができるのも“熊薬”ならではのいいところですね。
◆:先生の研究室には独自の海外研修制度があると伺いました。
甲斐: 自分が学生の頃にやりたかったことを学生たちにも体験してほしいと、アメリカやカナダなどの大学や研究施設で海外研修を行っています。研究者待遇で派遣されることも多く、彼らはひとまわりもふたまわりも成長して、自信を持って帰ってきますね。与えられる課題に対して自分で壁を乗り越えて、自ら知識を得ていく力などを身に付けて、成功体験を味わってほしい。そのためにも「いかに彼らのモチベーションを高めてやるか」それが私の役割の一つだと考えています。
◆:先生にとって研究の原動力は何ですか?
甲斐:世界中で薬の開発を待っている人々、そして研究室の門を叩いてくれる学生たちですね。細胞や動物を相手にする研究は24時間、土・日曜も関係ありません。研究者一人では研究はできない。彼らがいるから研究ができるんです。薬学部は、化学・物理・生物・臨床(薬学)をすべて学ぶことができる唯一の学部。「総合的な力を持つサイエンティスト」を育てていきたいですね。
◆:創薬研究とは薬を作ることが目的ではなく、“皆の健康”なんですね。僕も食事や運動に気を付けて、病気予防からがんばります。

 

(2012年12月6日掲載)

 

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